修羅 5

秋の展示会に向けての ポーチ とかの 小品の制作も始めつつ 並行して・・・

今回は 工程 6・7 に参ります。                 工程表

  ← 工程 6 の “ドライヤーあぶり”

  気温が高いので、蝋の 溶け始め が早い上、
  蝋が溶けてから なかなか固まらない。
  (いつもにも増して慎重にやってる)


 → 
 ↑ ドライヤー前                   ↑ ドライヤーであぶった後
気温が高く 蝋の溶け始めが とても早いので、“解け始めた” と思った瞬間には ドライヤーを外す。


  ← 地色を染める。  (今回は “黒” にする)

  三度黒 (現在 技術ブログに載せておりませんが少々お待ちを)
  第一段階の “ヘマチン” を染める。


  ← タペストリーなので 裏側からも 蝋を “2度置き” してるので
  (阿修羅の部分の白抜きする部分のみ) 裏側からもガシガシ
  染めてやります。  炎の部分の 白蝋起こしをした部分の裏側にも
  染料を染めてやらないと、その部分の炎の感じが出ません。
  ( ↑ 裏から見た時の場合です)


 → 
 ↑ ヘマチンを染めた直後             ↑ 染料が落ち着いてきて
引き染した直後は 蝋の上の染料が 蝋にはじかれて 粒粒になっていますが、生地が半乾きになる頃まで
蝋の上の染料を 摺り込むような感じで 面倒をみてやります。
特に 白蝋を染みさせる様な仕事の場合、第1回目の “面倒見” は とても重要です。


  ← ヘマチンが乾いて

  最初に染めた地色の 蘇芳×アルミ のアルミと 今回引いた
  ヘマチンが反応して 紫っぽい地色になりました。
  (写真の色と実際の色とはだいぶ違いますが・・・)


さて、第2ラウンドへ・・・

  ← 更にドライヤーであぶる。

  そのまま次の “鉄媒染” に移っても良いのですが
  ここで更にドライヤーで蝋を少し溶かして、染料の被る部分に
  “ほんの少しの差” をつけてやろうと考えております。

  ← その後に 鉄媒染。

  鉄媒染ではあるのですが、“黒” を染める場合
  “ノアールナフトール” という媒染剤を使います。


  元々が 染料を少し染みさせるような使い方をする
  それ程 防染力の強くない蝋 の上、ドライヤーであぶり
  2回も 引き染をしてるので、既に蝋はクタクタ!

  “被り過ぎ” が少々心配になり 蝋の上の染料を
  雑巾で拭き取ってやる。 (←吉と出るか凶と出るか?)

  ← 第2段階の ノアールナフトールが乾いて。

  当面 工程 7 までが 無事終了。
  最後の カリのボカシ を残すのみとなる。  さてさて・・・


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2010年09月05日 Posted by 染師 麗 at 22:22修羅 タペストリー

修羅 6

染め工程での実質的な最終作業 工程 8 へ・・・           工程表

  最後の工程 “重クロム酸カリ” を ぼかす

  ← ボカシの時の基本? 霧吹きでボカシ口に霧を吹く。
  この時 蝋の上に水滴がドンドン溜まるので、他へ流れない様に
  雑巾などで 蝋の上の水滴を時々拭いてやる。


  ← 出来るだけ細かい霧で 乾いてる部分との境を滑らかに。

  今回 炎の部分には 重クロム酸カリは染めずに地色のみに。
  (地色を“黒”に、炎の周りを少々淡く)


  ← 今回 それほど大きなモノではないので 霧吹きで
  湿った部分に “刷毛を下ろし始める” って感じで染めて行く。
  (炎の周りの湿ってる遠い部分から徐々にボカシたい辺りまで)


  ← 全体を一度染めたら 水分を補ってやる。

  刷毛で染めた方が どうしても水分が多く、乾いていく間に
  水分の多い方が 少ない方に押してくるので ボカシた両方の
  水分量を 同じ位にして置くのが肝心。

  半乾きになるまで ボカシ口の面倒をみながら・・・

  ← 乾いて 染工程 は無事終了!   お・つ・か!

  毎日暑いけど ドンドン乾くので作品制作には良いかも???


  ← 白蝋を置いてから ヘマチン → ノアールナフトール → 水
  更には 蝋の上を雑巾で拭いたりしてるので 蝋はボロボロ。

  夏なので 蝋の染料の被りも多いかと思われ 少々 し・ん・ぱ・い!


最終工程 9 へ・・・      蝋落とし(脱蝋)です。

  ← 先ずは アイロンで出来る限り 蝋をワラ半紙に吸い取る。

  全体が濃い色の場合 “新聞紙” の方が 大きくて 蝋取りの
  効率が良いのですが、今回は “白抜き” 部分があり
  下手をすると 新聞のインクが写ってしまう事があるので
  大事を取って ワラ半紙で 蝋取り。

  本来 “三度黒” は 蒸しをしないで、すぐに 水元なんだけど
  (蒸しをすると生地が硬くなったり赤っぽくなったりするので)
  今回の 最初の地色の 蒸しをしていないので 蒸しへ。

  その分 重クロム酸カリの 濃度 をやや薄めにしてあります。

  ← 蒸し・水元 と終って 後はドライを残すのみ。

  ドライ上がりまで少々時間が掛かりそうですが、上がったら
  また 報告します。    お付き合い ありがとでした!


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2010年09月06日 Posted by 染師 麗 at 23:23修羅 タペストリー

修羅 始末記

さて、阿修羅のタペストリーが ドライから上がって 水元を終え  祝!完成。    (仕立ては未)

  ← 図案 と 染め上がり。

  今回の タペストリーの感じは 自分でも
  見当の付く 染め方だったので (仕事や配色)
  まぁ、及第点といったところでしょうか・・・

  阿修羅を “白抜き” してあるので、後ろから
  光が入ると ボチボチ面白い感じになると思う。

今回 チョット残念だったのは、阿修羅の周りの炎を最初に染めた後 表から 鉛筆あたり をしていたのが
あまり見えなくなってしまい、アイ花で起こし直したんだけど そのアイ花が残ってしまった・・・

  ← アイ花のあたりが残ってるのが分かる???

  化学アイ花は “蒸しをして消える” という事になってるんだけど
  特に 天然染料 の場合 一度染めた上に アイ花をすると 跡が
  残ってしまう事があるので 皆さん御注意下さい。


まぁ、そんなこんなを冷やかしに 上がりを観に来て下さい。     (いつ発表しようかな・・・)

お付き合い下さった皆様 ども ありがとでした。   これにて “修羅のタペストリー”   一件落着!


( '10.9.23  このアイ花残りについてのアドバイスを頂きました。  こちらを  )



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2010年09月18日 Posted by 染師 麗 at 22:44修羅 タペストリー