リペア (完)

“リペア” して 今回の展示会に出品予定の着物が 一応無事に上がったので やっと一安心。

  ← マイクロワックスで 白付け して、鉄媒染しても
  まだ “打ち合い” の痕が見えるので
  最初に染めたときと同じ染料 (蘇芳・ヘマチン) で
  再度染めてみた後。 (まだ痕が残ってる)

  この状態で “蒸し” をしてやれば 発色して
  打ち合いの痕がわからない位に なったかもしれない・・・

ただ、蒸しをするには蝋取りをしなければならず、もし痕が消えてなかったら ドライをして もう一度初めから
やり直さなければならず、時間的に余裕が無いので 仕方なく 化学染料 のお世話に・・・

  ← 薄めの 化学染料 を引いて 蝋取り・蒸しを終えて

  果たして 化学染料で染めなくても直ったのか
  それとも 化学染料のお陰なのか???
  ただ、蒸しをする前 に比べ 発色してる。

  まぁ、結果オーライ と言う事で・・・

もう一点、カビが出てしまった着物 も方法は違うけど リペアが無事に上がる。    めでたし・めでたし!

・・・という事で 今回の個展 には、リペアの着物を2点出品 ですが、色味の感じやら、蝋のカブリやらで
以前とは 若干感じの違うものになりました。  (初めて観る方には新作だろうけど・・・)

いろんなモノを並行して制作してるので オ・ン・ボ・ロ CADELLAC 火を噴く寸前・・・   チャンチャン!


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2009年03月27日 Posted by 染師 麗 at 23:27仕業中

裏糸目・・・?

  ← 下絵写し のように下からライトを当てて
  何かやってますネェ。  いったい何やってんだ???

  実は、表の 糸目 に沿って 裏側からも 糸目 を
  引いてるんだ。
  普通 糸目は表側しか引かないんだけど、コイツは
  タペストリーにするつもりなので、裏から見ても

カッチョイイように、また 蝋のように “バッチリと白抜き” したかったので 裏からも糸目を・・・


  ← 表の糸目を引いて 揮発地入れ をして
  裏返しにしたところ。

  なんとなく表の糸目が見えるけど 下絵のアイ花の線とで
  イマイチはっきり見えないでしょ。
  それが・・・


  ← 裏からライトを当ててやると こんな感じに
  ハッキリ見える。 (まぁ、当たり前か・・・)

  この表の糸目を追いかけてその通りとレースしていくから
  表の糸目を引くより ある意味難しい。



  ← で、こんな感じに 裏からも糸目を引いて
  裏表から生地をサンドイッチするようにしてやるんだ。

  それでも “蝋” のように、表から裏まで生地の繊維を
  完全に伏せている状態ではないので
  糸目の弱い部分から 泣き出してくる。 (滲んでくる)


着物や帯のように 裏地が付くような場合は あまり関係ないんだけど、裏からも見られるようなモノの場合
特に暖簾のようなモノの場合 時間と手間は掛かってしまうけど、上がりが ビューティフル!
一度試してみると この違いがハッキリわかると思うよ。    健闘を祈る!             じゃ!


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2009年03月26日 Posted by 染師 麗 at 23:26仕業中

暖簾 蝋置き

  普段は 絹 を使って染る事が多いんだけど
  綿 なんかも 染めたりするんですね。
  特に 暖簾の生地は厚く、なかなか乾かないので
  天気によって仕事の進み具合がかなり違うんだ。
  
  特に暖簾は 両面から観られるので、表裏共に
  蝋を置くから仕事の時間も掛かるんだなぁ・・・

上写真で蝋の置いてある部分は白く抜きたいので、防染力の強い マイクロワックス で伏せてるんだけど
表側のみ 白付け しても、裏側からも 蝋の二度伏せしてやらないと 裏の蝋の薄い部分から
染料が染みてしまうんだ。 だから暖簾のように両側から見られるような場合の “白抜き” をする時は
表裏からの 蝋置き をする必要があるんだ。
両面共に 蝋の二度置きをしてやると、心置きなく裏側からもガシガシ仕事が出来るから 少々手間でも。


  さて、特徴の違った二種類の蝋を使っての お仕事。

  ← 白く見える柄の部分は、白抜きするために
  防染力の強い マイクロワックス
  その後 染・媒染をしてから
  半円形の部分は 染料を染みさせるので 白蝋
  ・・・で今、なんでドライヤーで炙ってるかというと

  広い面積の蝋置きをすると どうしても一発では蝋が
  置ききれず (蝋が冷えてドンドン固まってしまう為)
  蝋が冷えてから重なる部分は、画面中央のような
  ガサガサした感じになってしまうんだ。
  このまま染めると、このガサガサの感じが出てしまい
  とても見苦しいんだ。


  それをドライヤーで炙って蝋を溶かしてやると
  ← 蝋の 調子 で置いたように馴染むんだ。

  (勿論 このガサガサを “わざと” 創って
  その効果として使ってもイイんだけど)

  今回は “調子仕事” なので。

この後、鉄で媒染して 最終的な地色を創って ハイ!おしまい!            チャンチャン!


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2009年03月25日 Posted by 染師 麗 at 23:25仕業中

リペア 続き・・・

  以前に たたんで仕舞ってあった着物の柄が
  打ち合ってしまい “リペア” と思ったまま ホッタラカシに
  してたヤツを 染め直して 今回の展示会にと・・・

  こういうのを “柄生け” って言うんだけど、こんな事もやる
  
  まぁ自分のだから やるんだけどね・・・

↑ コイツは マイクロワックス で 白付け して、先ずは 鉄で媒染 して、様子を見てから以後を考えるつもり。

染を続けながらも まだ図案なんか描いたりして・・・   “案” は出来てるので、まだなんとかなりそう・・・


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2009年03月24日 Posted by 染師 麗 at 23:24仕業中

むらさき橋サクラ 定点観察 ’09

♪♪♪ 桜 咲いたよ ♪♪♪  ’09・3・22



去年 は サクラが咲いた日から 写真に撮ってたので 今年はもう少し前から・・・
オレの仕事場 “染工房 規格外” の前から撮った写真を日を追ってつなげていくよ!


3月3日 (火)  桃の節句  晩に雪が降る・・・


3月13日 (金)  ボチボチと蕾が膨らんでくる


3月20日 (金)  春分の日  午前中 雨模様


3月22日 (日)  サクラサク!    オレの団地も 通勤途中の五日市街道も チラホラと
  


3月23日 (月)  風の強い一日             ↓ もう準備万端
  


3月24日 (火)  急に寒さが戻ってきた


3月25日 (水)  寒みぃ~! その上 雨かよ!   サクラカワイソ~!
  


3月26日 (木)  サクラも すっかり出鼻をくじかれた様子・・・


3月27日 (金)  お天道様は出るけど 寒い日が続く
  


3月28日 (土)  今年はユックリペース  井の頭公園では、もう酒臭い・・・


3月29日 (日)  最初のサクラが咲いてから一週間  ↓ 最初のサクラの枝は大分咲いてきた
  


3月30日 (月)  好い天気が続く  ボチボチか


3月31日 (火)  今年も 1/4 が過ぎてしまった・・・


4月1日 (水)  エイプリルフール  晩に春の嵐


4月2日 (木)  段々春らしく・・・  サクラも徐々に・・・


4月3日 (金)  今週末は お花見日和   オレは仕事三昧


4月4日 (土)  ポカポカ陽気  やっと何処でもサクラが楽しめる


4月5日 (日)  徐々に徐々にで いつの間にか満開秒読み


4月6日 (月)  もう満開か???


4月7日 (火)  サクラ吹雪 舞う


4月8日 (水)  搬入・飾り付け終わる  明日より展示会


4月9日 (木)  無事 あーとらんだむ展 ’09 始まる


4月10日 (金)  いたるところサクラの絨毯 
  


4月11日 (土)  大分 青い葉が目立ってきた


4月12日 (日)  良い天気が続き サクラも大分散ってきた


4月13日 (月)  徐々に葉の緑の方が多くなってきた・・・


4月14日 (火)  ハッキリしない天気の一日 雨が降ったり止んだり


4月15日 (水)  今年の個展も無事終了 サクラもオシマイ・・・


4月16日 (木)  すっかり 葉桜・・・  青葉繁れる


4月19日 (日)  すっかり春 すっかり青葉


4月22日 (水)  サクラ咲いてから1ヶ月経って・・・


5月22日 (金)  2ヶ月経って  ボチボチ初夏


10月24日 (土)  約7ヶ月経って  CAPARISON展示会初日


  また来年!               じゃ!



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2009年03月22日 Posted by 染師 麗 at 22:22むらさき橋サクラ

無線刺し

クロム媒染 で 蝋にヒビ を入れたり、ボカシをやったりしてたわけですが、蒸しが上がってみると
いまいち “ピン” とこない。            ・・・で、イロイロ考えた結果

  “無線刺し” をやろうという事に。

  この 無線刺し というのは いたって簡単。
  染料に “泣き止め” を適宜 混ぜて、
  それを彩色する部分に 刺して行けばイイだけ。


素人さんが、オレラの言う “刺し” の事を “塗る” と言うけど、これはもう そんな感じ。
ただ、生地の裏まで染料が抜けるよう 友禅をやる時のように裏からヒーターで煽ってやってるけど。


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2009年03月21日 Posted by 染師 麗 at 09:30仕業中

クロム媒染

・・・しばし わけありで “鬼っ子” として 技術ブログ の方へ引っ越してましたが、またこちらのブログ
“岩転狂仙人” へ舞い戻ってきました。     また よ・ろ・し・く! です。
(しばしの間の製作工程は 技術ブログ の 作業中三十三間堂の帯 にあります)


さて、今回は “媒染剤” の中でも 少々変わった存在の “クロム” について・・・

化学染料でも “蒸し” をすると多少 発色して色が変わったりするんだけど
オレの使ってる “天然染料” の場合 “媒染剤” によって、同じ染料でも違った色になるんだ。

それは “媒染剤の説明” で観てもらうとして、その媒染剤の中でも 少し変わった存在が クロム なんだ。


染料を 媒染 してやると、乾くまでの間に かなりの色が発色してくるんだけど
クロムの場合は “蒸し” をしてやらないと ほとんど発色がわからないんだ。

  ← 試し蒸し前 : ベースとなるのは右半分
  全体的にクロムで媒染している

  ← 試し蒸し後 : 中央部のブルーは ほとんど
  化学染料なので クロムの影響はあまり影響を
  受けていないけど その他の 天然染料の部分は
まるで違う色になってるでしょ。  (蒸しによって、色が発色してきたんだ)



本チャンの帯で ボカシをしたり、蝋にヒビを入れたりしながら染めて・・・

  
↑ 染め終えたばっか              ↑ 蝋取りして “蒸し” をした後  

やっぱ 仕事をしながら大雑把な配色の確認が出来ないと “蒸し” が上がってみると 時たま
“ありゃ~???” っという事になってしまう。      
今回・・・      さて、これからどうしよう・・・?


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2009年03月21日 Posted by 染師 麗 at 03:21仕業中

帯・三十三間堂 上がり

しばし 掛かりきりだった “三十三間堂の帯” が、やっとドライを終えて 上がって来た。

  特に失敗も無く 無事に上がってくれて “ホッ” と一息

  ← こんな感じで 展示 しようと考えてます。

  水元はまだですが、後はシミなどを うっかり付けて
  しまわない限り こんな感じで “上がり” です。


  ← 近くで観ると こんな感じ

  今回作った 金茶のゴム糸目 が、かなり立っていますが
  使い慣れたら もう少しシックリ行くように使えるかな・・・
  ただ、遠目に観たら その 金茶ゴムのり の立った感じが
  シッカリしていて “イイ感じ”    ん~難しい!


  図案描きから始まって、帯として上がったわけです。

  制作の工程は 技術ブログ の “三十三間堂の帯” から
  どうぞ・・・
  まだまだ、もっと良くなるとは思うのですが、
  現在の オレの力量 では イッパイ・イッパイ かな?

  それでも 頭の中に “浮かんで来た案” が、ひとつの
  “カタチ” になったっていう事が し・れ・う~!

  15回目の展示会 までに まだまだ創らなければ
  ならない モノ が、いっぱい・・・    ガンバロっと!


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2009年03月13日 Posted by 染師 麗 at 09:55仕業中