加藤清正 撒き蝋バック

昨日は “クロム媒染” したのみで、天気が悪く なかなか乾かないので (特に厚手の綿生地だし)
それ以外は 仕懸かりの仕事をこなしながら 少々のんびりとしてたんだけど・・・

本日 “撒き蝋” 仕事だったんだけど、前回 “白蝋起こし” をした時にも 思ってた以上に時間が
掛かったのと同様、今回の 撒き蝋 にもそれ以上にタップリと時間が掛かったのでありました・・・

  いくら蝋を撒いても生地の含みが多い分 なかなか効果が現れず、
  その上 生地幅も着物生地よりタップリ有るので 仕事がはかどらず
  蝋を撒き終わる頃には 気が遠くなってくる。

  ← 清正公部分を新聞紙でマスキングして 撒き蝋をしている。

  着物生地でも 裏側からも 蝋を撒きますが 特に今回の
  暖簾用の生地は厚いので、なかなか裏まで蝋が廻っていません。
  
  ← なので裏返して 小針も表裏張り替えて もう一度 撒き蝋。
   (撒き蝋は着物や帯でも出来るだけ表裏仕事した方がイイです)

  ← 筆も本来の使い方とは違うので傷みも激しく 今まで撒き蝋時に
  メインで使ってた蝋筆が途中で ダメになってしまった。

  蝋も 手やら身体やら そこら中に飛び散りますので、
  新聞紙によるカバーは多少広めにやっておいた方がイイです。


さて、前回の 撒き蝋 をやった時に気付いた “大粒の蝋が飛ばない方法” ?は効果が有るようです。
今回 大きな蝋の粒が飛んでしまった部分がありますが、それは蝋をタップリ付け過ぎた為 蝋を運ぶ途中で
落ちてしまったもので、蝋を撒いてる時に飛んでしまった “大粒の蝋” は無かったようでした。
もし 撒き蝋 をやる方で 偶然に飛んでしまう大きな蝋の粒に悩んでる方が居たら 是非試してみてチョ!


  ← 掛色の 鉄の濃度 を一緒に染めた 試し布で観る。
    この時 “試し蒸し” もした方が良いと思います。
    (特に今回はクロムも使用してるので)

  で、今回は あまり濃い鉄ではなく、少々淡目の鉄で媒染しました。


↓ 撒き蝋後                      ↓ 鉄媒染後
 → 

鉄媒染してみたら 撒き蝋が かなり食われてしまった様子・・・   (かなりタップリ撒いたのに・・・)
清正公は巧く行ってる様だけど・・・            後は “染の神様” にお願いするしかない・・・

後は アイロンで蝋取りして、蒸しをして、ドライ・水元を残すのみ。


本日も12時間以上の仕事で ジジィ ボロボロだす・・・  でも、せめてこの時期くらいガンバんなきゃネ!
日頃は フニャフニャ・ヘラヘラ してんだから・・・             チャンチャン!


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2010年02月27日 Posted by 染師 麗 at 23:57仕業中

加藤清正 白蝋起こし

“長年の宿題” の図案が出来て、さてどのように染めるかなぁ???と思案の結果 やっと製作工程を決定。

  先ずは “白蝋起こし” で蝋を置いて 渋木×クロム で金茶に染め
  その後 “撒き蝋” をして、淡鉄媒染で 金砂子地にしようと思う。
  この染め方で行けば 生地は絹でも綿でも染められるので 
  失敗した時のリスクを減らすのと 生地に厚みがあると仕事が
  しやすいので、今回の生地は “綿” に決定。

  生地に厚みがあると 白蝋起こし をする際に 蝋が固まるまでに時間が
  掛かり (生地が厚い分蝋の含みが多く生地が冷えるまでの時間が掛かる)
  仕事がしやすくなるので、暖簾用の厚めの生地を選んだんだけど
  それが災いして? 5~6時間ぐらいで終ると思ってた 蝋置きが なんと
  10時間から掛かってしまった。  (蝋の含みが多い分なかなか進まない)

  ← ヘロヘロになって蝋置きをやっと終え 渋木 を染める。

渋木を染めてみて 今の所 (あくまで今の所) 仕事が無事に行ってる様子なので一安心・・・
今日は暖かかったので 蝋置きもやりやすくラッキーだったが、腰がパンパン・・・

自分の技術イッパイイッパイの仕事だったので途中で写真撮影などする余裕も無く、終ってからの撮影でした。
途中の経過報告が出来ないのが 少々残念ではありましたが 仕方ないね。       チャンチャン!


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2010年02月25日 Posted by 染師 麗 at 23:59仕業中

長年の宿題 加藤清正

果たして 何年越しの宿題だろう???  分からないくらい前からの宿題にやっと取り掛かった・・・

オレの仕事場からすぐの 井の頭公園・文化園にある “北村西望さん” の彫刻展示場にある
加藤清正の像 が好きで、いつかは “染” で、こんな感じのものをやってやろうと思っていたんだけど
今回やっと 重い腰を上げ 長年の宿題に取り掛かったんだ。

  ← やっと図案のみは描き上がった・・・  (本図案&雛形)

  彫刻のような感じの仕上がりにしてやろうと考えてるので
  白蝋の “起こし” のみによる仕事でやろうと思ってるんだけど
  頭の中での “完成” が、あまり見えていない・・・

いつもなら 仕事を始める時には、ある程度の上がりの予測がついているんだけど 今回はほぼ 分からず
手探り・暗中模索の仕事に掛かるってわけですね・・・  (展示会前のこの時期にいいんだろうか???)
まぁ 始めなければ分からないのだから、現在取り掛かってる仕事を全部中断してフルスロットル・・・ってか。


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2010年02月24日 Posted by 染師 麗 at 11:00仕業中

李朝の松 始末記

  ← 湯熨斗・絵羽(仮縫い)も無事上がり
  思ってた以上の ハイペースに ビックリ!

  経験した事のある仕事は、身体が覚えていると言うか
  仕事途中での迷いが無いので 仕事始めから(除図案)
  三週間と掛からずの 超スピード上がり。
  上がりも ほぼ想像していた感じで。 

  よく言われる  “継続は力なり”  と言う言葉を
  つくづく思い知らされた仕事だった。

なかなか キビシー 業界の状況ではありますが、仕事を “や~めた!” と投げ出さない限りは
“まだまだ自分の技術が進歩していく可能性があるんだなぁ・・・” と思わされた今回の制作でした。
細々とアルバイトなんかしながらでも この仕事を続けて行こうと思う 今日この頃です。

では、春の 吉祥寺 “あーとらんだむ” でお逢いしましょう。  (4月6日~12日)     じゃ!



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2010年02月21日 Posted by 染師 麗 at 12:24訪問着 “李朝の松”

蝋取り 蒸し

仕事もほぼ終わり 最後の 蒸し・ドライ・水元 に掛かる前に もう一仕事。

  肩の部分の お月様の彩色に掛かる。

  ← マイクロワックスで伏せてあったので 白く抜けている。
  蝋取りしたアイロンの熱で 柄の周りが幾分反応して
  濃くなり始めている。  (蒸しをするとこの地色が紺になる)

  ← 柄の周りを “堰出し” して 淡い黄色を刺す。 

  アイロンでマイクロワックスはかなり落としてるものの
  まだ 蝋分は残っているので 染料に “浸透剤” を
  入れないと 蝋分にはじかれてしまい なかなか染まらない。

  彩色した染料が乾いたら お月様の陰影を
  白蝋で “調子” で置き 蝋の上でも はじかれないくらいの
  浸透剤を入れた染料(グリーン)で彩色(掛色)する。
  (彩色後 生地が傾いてると 染料に浸透剤が入っている為
  流れやすくなってるので注意!)


これで 李朝の松・着物の 染工程は全終了!    最後の  “脱蝋”  の為の工程に入る。


  ← 先ずはアイロンによる 蝋取りから。

  蝋の上の染料を 生地に “じわ~っ” と染みさせるように。
  (今回地色は濃いので新聞紙での蝋取りでも問題無し)
  新聞に蝋が付かなくなるまで 数回繰り返す。

  ← 蝋取りが終ったら “蒸し” に入れる準備。

  他の工房では ここら辺から外注に出してるんだけど
  オレは “簡易蒸し器” で自分で蒸しもやる。
  ← 蒸しの前は こんな茶っぽい地色ですが・・・

  蒸しを 4~50分程してやると あ~ら不思議

  ← こんな 紺地になってしまうんですね。
  “クロム媒染” は最後の蒸しが終るまで 色が分からず
  それが大変でもあり 楽しみでもあったりします。



後は “ドライ” をして完全に蝋分やゴム糊を落として (他の工房では外注、オレは実家がドライ屋なので自分)
“水元” をして生地に残っている余分な染料を洗い落としてやります。 (これも他工房では外注)
その後に 小針で歪になった生地幅を整える “湯熨斗(ゆのし)” (これはオレも外注)をして
着物の形に仮縫いする “絵羽(えば)” (外注)をして 出来上がり。

  ← オレの出来る全工程を終え 元の一反に戻して
  湯熨斗屋さんへ持って行く準備も終る。
  湯熨斗をしてもらってから 最後の上絵羽へ。

  ← 反物の横に置いてある端切れは、今回の色創りに使用したもの。

  残すところは 絵羽が上がって来るのを楽しみに待つだけ。




今回 以前にやった事のある仕事で 工程もある程度把握してたので、出来るだけ分かり易いように
解説したつもりですが、自分で “染” をやらない方には ??? だったかもしれませんね。
もっと 染をやった事の無い方にも興味を持ってもらえるよう 努力してきますが、“度量未だ追いつかず”
・・・といった感じでしょうか。    まぁ ボチボチと頑張っていきます。
分からない部分については お気軽に質問して下さい。  (コメントからでもメッセージからでも)
時間が掛かるかもしれませんが必ず返答しますので。



では、つき合って読んでくれた皆さん ども ありがと!              じゃ!



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2010年02月15日 Posted by 染師 麗 at 02:15訪問着 “李朝の松”

地染 染料&媒染

準備も整い いよいよ最後の段階 “地染” に掛かる。

  今回の地色予定は “紺地”
  “ヘマチン” (元は黒を染める染料) を使って
  “鉄” か “クロム” で媒染する考え。

  ← 先ずは ヘマチン を 引き染め。



  ← 染料を引いたばかりの時

  まだ、白蝋が 染料をはじいて
  蝋の上は 染料の粒粒になってる。
  染料が落ち着くまで 時々染料を浸けてない刷毛で
  “返し刷毛” をしながら 面倒を見てやる。


  ← 染料が大分馴染んで来た。

  返し刷毛 の際は 円を描くような感じで
  蝋の上の染料を “摺りこんでやる” といった様に
  あまり力を入れずに ゆっくりと。
  (蝋の上の染料が 粒粒にならなくなるまで)


  ← まだ完全に乾いてませんが 光の照りで
  蝋の濃淡 や 染料の馴染み具合が分かるでしょ。
  引きっぱなしで 蝋の上の染料の面倒を見てやら無いと
  染料の粒粒の跡が 後からハッキリ分かってしまいます。
  (落ち着くまで2~30分の事なので頑張りましょう)



さて、先に引いた染料が乾き 次に 何で 媒染 してやるかを考えるのですが・・・  (マァ、鉄かクロムですが)
  ← ヘマチンを 鉄(左) ・ クロム(右) で
  媒染 して 試し蒸し(中央部分)をした 試し裂

↑ クロムの場合 “蒸し” をしてやらないと発色しないので、中央から右側(クロム側)では 
蒸しをしてない ヘマチン×クロム の部分(最右端)は 未だ ヘマチンの色をしてますね。
それに対して 鉄は媒染後 直ぐに発色して 蒸しをした後とそれほど変わりません。

色味ですが、ヘマチン×クロムは “藍染” の様な チョットくすんだブルーです。
ヘマチン×鉄は ヘマチン×クロムに紫を混ぜたような もう少し “紫味を持った藍色” といった感じです。
この後に 重クロム酸カリ で媒染すると “三度黒” と言う 黒になります。

  鉄・クロム のどちらで媒染するかを考えてたのですが
  ← 写真のような感じで “かなり蝋が痛んでいる” ので
  鉄で媒染すると 蝋の濃淡部分で かなりガツンと
  差がついてしまうのではないかと考えられ クロムに決定。
  (下の葉の部分の媒染もクロムなので染料分の差で済む?)

  ← クロム媒染 に決定して 媒染中。

  クロムの場合は 他の染料と違って 直ぐに発色してこないので
  気分的にユックリできます。 平らに均すように染めて下さい。



もう少し・・・        空咳の続くヘロヘロジジィでした・・・          チャンチャン!



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2010年02月13日 Posted by 染師 麗 at 23:13訪問着 “李朝の松”

白蝋起こし

“李朝の松” の着物も いよいよ最後の大詰めに・・・    彩色した 葉 の部分を 起こしていく。 

  ・・・その前に
  現在 とても寒い時期なので (仙人の仕事場は特にサ・ム・イ)
  蝋の調整を・・・  蝋の固まるまでの時間をユックリにする為
  ← 白蝋に “ラード” を入れてやるんだ。
  (季節の気温によって蝋が固まるまでの時間が微妙に変わるので)

夏は暑くて 白蝋が固まるまで時間が掛かるので 融点の高い “マイクロワックス” を少し混ぜたり
冬は寒くて ドンドン固まってしまうので 融点の低い “ラ-ド” や “天ぷら油” なんかを加えたりするんだ。
(加える量は人それぞれの手の速さで違いますが、オレは写真位の白蝋の量に5~10cm位かな)
この工夫は 師匠から教えてもらった 先人から伝わって来た “ありがたい知恵” です。


  さて、準備が出来たので “白蝋起こし” に掛かる。

  この 白蝋起こし の仕事については 良く記事にしてるので
  写真を撮るのを忘れてしまいました・・・
  似たような仕事をしてますので、興味があったら こちらを


蝋伏せ (白蝋起こし) する部分が 身頃の約半分あるとはいえ、修行時代に良くやった仕事なので
思ってた以上に速く終る。

この仕事をやりながら思った事なんですが、修行時代に回数をやって 段々と自信をつけた技なんだけど 
現在 師匠の下を独立して 自分の責任で仕事をしていて 修行時代よりも更に 自信を持って仕事をしてる
自分が居て なんとなく驚きました。  (“継続は力なり”とは良く言ったもんだと感心)


蝋伏せ (白蝋起こし) が終って、地色の染めに入る前に もう一仕事・・・

  蝋を置いてる時に 蝋筆の毛が抜けたり
  髪の毛や繊維が、写真の様に 蝋と一緒に
  固まってたりするので、それらを 千枚通し 等で
  削除して その部分を溶かして均してやります。

  (染めた時に その部分の蝋の厚みが厚くなって
  “毛” の模様が出来てしまいますので)

もうひとつ・・・

  すでに “調子” で蝋を置いて 一度 染めた
  ボク(幹・枝部分) の上に 葉の 白蝋起こし時に
  蝋が被ってしまった部分も (千枚通しで指してる部分)
  そのまま染めると かなりシッカリ跡になってしまうので
  この部分も 溶かして均してやります。
  (白蝋を使って数回仕事をするような場合これらは
  どうしても出来てしまいますので後から修正します)

上記二つの問題点?の修正に 前回のボク(幹・枝)の修正時の様に 蚊取り線香を使っていたのでは
めちゃくちゃ時間が掛かってしまいます。  (部分が少なければOKですが・・・)

  そんな時は “必殺ドライヤー炙り” が お勧め。
  ← それも ジョウゴを使って “スポット” で。
  これはオレがあみ出した?必殺技! (←自慢げ)
  修正の部分が量的に沢山あるので 蚊取り線香で修正してたら
  煙にやられて 蚊でなくても撃沈してしまいます・・・

それに前回のボク部分を この方法でやったら 蝋の無い周りの部分に 蝋が溶けて泣き出してしまうので
仕事的に無理ですし。  (その都度 適した方法が有るのでイロイロ考えながら・・・)

この修正が思いの外 時間が掛かりますが、これをシッカリやっておかないと “上がり” に差が出ます。


残すところは 地色の染め。               終わりは見えてきた。
半日寝て風邪も幾分良くなったけどイマイチ。    (若い頃と違って無理が利かなくなってる・・・)



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2010年02月12日 Posted by 染師 麗 at 22:12訪問着 “李朝の松”

彩色 広い場面

正月に風邪ひいたのに、またひいてしまった・・・  (今年は厄年???← とっくに過ぎてる)

  ボク(幹・枝部分)の “蝋伏せ” も終わり、次は 着物全体の
  半分を占める 松の葉の部分の 彩色に掛かる。
  グリーンにするので、使用染料は ヘマチン と 渋木 を混ぜ
  一液のクロムで媒染。  クロムの場合は 一液用媒染剤でも
  “試し蒸し” をして色の確認をしといた方が 安全。


さて、色創りも終って いよいよ広い部分の 彩色 に掛かるんだけど・・・

  ← この様な広い部分を 刺す(彩色)ので
  染料に かなり “泣き止め” を入れないと 糸目が耐え切れず
  松の葉の部分から 空の部分へ染料が 泣き出してしまうんだ。
  かといって、彩色する染料全部に 泣き止めを入れるというのは
  非効率的なので・・・  (彩色時&乾燥時)


  ← このように 同じ染料を 二つに分けて
  片方には 泣き止めをタップリ入れて 泣き出さないようにして
  もう片方はほとんど 泣き止めの入っていない染料を用意して
  仕事に掛かると 余計な泣き止めを使わなくてイイし
  乾くまでの時間も短くて済みます。


  ← 先ずは 泣き止めのタップリ入った染料で
  柄の際を 彩色して (片側は彩色の時の様に常にボカスように)




  ← 泣き止めのタップリ入った染料が
  “堰” の役目をするので、あまり泣き止めの入ってない
  染料を 刷毛で ムラ無く染める。
  泣き止めの入ってる染料 と 入ってない染料の 際は
  良~く 馴染ませてやって下さい。


無事に広い部分の 彩色が終ったら もう一仕事・・・

  ← こんな感じで 蝋伏せの時に はみ出してしまった部分が
  有った場合は 彩色後に目立ちますので・・・




  千枚通し のような先の鋭利なもので 削っておいてやると
  作品として 上がった時に あまり目立たなくなります。

  (はみ出さないように仕事するのが一番ですが・・・)



わりかし丁寧に説明してるので、ライブとの時間差が出てきた・・・   その上風邪の調子も悪くなってきたし・・・
“染” をやってる方々には 分かりやすいですかネェ???  (御意見あったら お願いします)

どうにかこうにか仕事はしてるものの 頭痛て~ ノドも痛て~         チャンチャン!



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2010年02月11日 Posted by 染師 麗 at 00:11訪問着 “李朝の松”

蝋伏せ 白蝋

  ボク(木の幹・枝の部分)を 白蝋 を使って
  “調子” で蝋伏せしてるのですが、
  ← 今回の柄は複雑に入り組んでいて 端から順に
  蝋を置いて行っても 一気に最後まで 蝋を置く事は
  出来ずに 途中で数回 “蝋伏せを継ぐ” ところを
  作らなくてはなりません。


友禅であれば、刺している染料を 乾かないように面倒を見ていれば どうにかなるのですが、蝋の場合
置いた瞬間から ドンドン固まってしまうので、どこかで巧く継がないとなりません。
“白付け”の様な場合なら 蝋を更に上に被せて “完全防染” するので 問題は無いのですが、白蝋の場合
色を蝋の上から 染みさせる事が目的なので、蝋の重なって厚くなった部分が問題となります。

  ← 画面中央の 蝋に “照り” のある部分が
  一度冷えて固まった蝋の上から 次の部分へ
  再度 蝋置きをした様子です。

  そこの 蝋の重なった部分の蝋の厚みが厚く
  他の部分に比べて “防染力” が強くなり 染料の
  色を被せた時 その部分がハッキリとしてしまいます。

上写真のようにしてしまうと 後から蝋を溶かして均すにも 少々面倒なので “線で継ぐ” という感じで・・・

例えば・・・
 1 →               2 →               3

 4 →               5 →               6


・・・のように仕事を進めて行くと 後から修正がしやすいです。

勿論これは “ひとつの方法” であり、他にも もっと良い方法が有るはずだと思います。
今の所 オレがやってきた中で 一番良い方法だと思ってますが、もし もっと良い方法があったり
こんな風にやったらいいんじゃない?といった事が有ったら 是非教えて下さい。

さて、線で継ぐ場合ですが

 → 
両側から 蝋が線で繋がる部分は 蝋が “ジワ~ッ” と溶けて来た部分が互いに重なるような感じです。
(巧く説明できないですが、実際にやってみて下さい。結構巧く行くと思います)

また、今回は生地を “紬” で仕事してるので
 → 
紬の 糸の太くなってる部分で (何て言うんだろ?) 継ぐっていうのも ひとつの手です。

上記の様な感じで巧い事 蝋を継ぐと ケッコーそのままで (修正しなくても) 大丈夫な時も多いです。

  ・・・が、
  ← この様に明らかに違いが分かるような場合も
  有ったりします。 (写真では2ヶ所)

  ・・・そんな時は

  ← オレは “蚊取り線香” で 継いだ部分を
  溶かして 修正してます。

  オレの師匠は こんな感じの小さい部分を溶かす時
  タバコでやってました。 (何でも利用できますね)

  2ヶ所 溶かしてやりましたが なかなかでしょ。

  ← これ位になれば 仕事を続けていっても
  それ程 気になる事は有りません。
  しかし、修正しなくても良い仕事をするのが一番です。


こんな感じで 白蝋伏せ が、やっと終った・・・           仕事はまだ続く・・・ 
ヘロヘロ・・・     その上、また風邪ひいたみたい???     調子悪りぃ~!



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2010年02月10日 Posted by 染師 麗 at 00:10訪問着 “李朝の松”

蝋伏せ

ボク(木の幹・枝部分)の 刺し(彩色) も終わり 確認も済み、次なる工程へ・・・

“蝋伏せ” (蝋置きともいう)って言うのは、蝋を使って防染する部分を作る仕事全般を言います。
この時に まるで色の かぶりを創らずに 元の地色のまま防染するのを “白付け”
色を被らせて 防染した部分にも 色を染みさせる “調子” ・ “起し”
ただ単に 堰 を作って 他の部分に色が泣き出さない様にする “堰出し” 等 イロイロな技術があります。



さて “彩色” が終った部分を 白蝋 を使って “蝋伏せ” していくんだけど、その前に 先ず ひと仕事。


  肩の部分の お月様を マイクロワックス で 白付け。

  ← “蝋の試し” (蝋の調子を見る) の出来る場所が
  無いような時は 本番部分の邪魔にならないような場所で
  チョット試しをして見る。  (いきなり本番はNGだよ)

  白蝋 で一緒に仕事をしてしまえば早いんだけど
  生地を張り替えたり、動かしたりしてるうちに
  白蝋だと ヒビ が入ってしまったりして
  何かと不都合なので お月様のみ 白付け
  (マイクロワックスは柔軟性があるので)



  白蝋は ヒビ が入り易いので、友禅伸子に張って
  蝋伏せをしてから 張り手 に張り替えるという工程では
  蝋が痛んでしまうので これ以降は 張りっぱなし仕事。

  張り手 に張っての仕事なので 友禅伸子での蝋伏せとは違って、
  自由に生地を動かしたり出来ず 仕事が非常にやり辛い上に 
机にもたれ掛かる事が出来ずに 腰への負担も大きい 必殺 “ジジィ殺し” 仕事???


すでに 腰がパンパン・眼がガキガキといった ヘロヘロジジィ状態・・・       チャンチャン!



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2010年02月09日 Posted by 染師 麗 at 00:09訪問着 “李朝の松”