白蝋起こし

“李朝の松” の着物も いよいよ最後の大詰めに・・・    彩色した 葉 の部分を 起こしていく。 

白蝋起こし  ・・・その前に
  現在 とても寒い時期なので (仙人の仕事場は特にサ・ム・イ)
  蝋の調整を・・・  蝋の固まるまでの時間をユックリにする為
  ← 白蝋に “ラード” を入れてやるんだ。
  (季節の気温によって蝋が固まるまでの時間が微妙に変わるので)

夏は暑くて 白蝋が固まるまで時間が掛かるので 融点の高い “マイクロワックス” を少し混ぜたり
冬は寒くて ドンドン固まってしまうので 融点の低い “ラ-ド” や “天ぷら油” なんかを加えたりするんだ。
(加える量は人それぞれの手の速さで違いますが、オレは写真位の白蝋の量に5~10cm位かな)
この工夫は 師匠から教えてもらった 先人から伝わって来た “ありがたい知恵” です。


白蝋起こし  さて、準備が出来たので “白蝋起こし” に掛かる。

  この 白蝋起こし の仕事については 良く記事にしてるので
  写真を撮るのを忘れてしまいました・・・
  似たような仕事をしてますので、興味があったら こちらを


蝋伏せ (白蝋起こし) する部分が 身頃の約半分あるとはいえ、修行時代に良くやった仕事なので
思ってた以上に速く終る。

この仕事をやりながら思った事なんですが、修行時代に回数をやって 段々と自信をつけた技なんだけど 
現在 師匠の下を独立して 自分の責任で仕事をしていて 修行時代よりも更に 自信を持って仕事をしてる
自分が居て なんとなく驚きました。  (“継続は力なり”とは良く言ったもんだと感心)


蝋伏せ (白蝋起こし) が終って、地色の染めに入る前に もう一仕事・・・

白蝋起こし  蝋を置いてる時に 蝋筆の毛が抜けたり
  髪の毛や繊維が、写真の様に 蝋と一緒に
  固まってたりするので、それらを 千枚通し 等で
  削除して その部分を溶かして均してやります。

  (染めた時に その部分の蝋の厚みが厚くなって
  “毛” の模様が出来てしまいますので)

もうひとつ・・・

白蝋起こし  すでに “調子” で蝋を置いて 一度 染めた
  ボク(幹・枝部分) の上に 葉の 白蝋起こし時に
  蝋が被ってしまった部分も (千枚通しで指してる部分)
  そのまま染めると かなりシッカリ跡になってしまうので
  この部分も 溶かして均してやります。
  (白蝋を使って数回仕事をするような場合これらは
  どうしても出来てしまいますので後から修正します)

上記二つの問題点?の修正に 前回のボク(幹・枝)の修正時の様に 蚊取り線香を使っていたのでは
めちゃくちゃ時間が掛かってしまいます。  (部分が少なければOKですが・・・)

白蝋起こし  そんな時は “必殺ドライヤー炙り” が お勧め。
  ← それも ジョウゴを使って “スポット” で。
  これはオレがあみ出した?必殺技! (←自慢げ)
  修正の部分が量的に沢山あるので 蚊取り線香で修正してたら
  煙にやられて 蚊でなくても撃沈してしまいます・・・

それに前回のボク部分を この方法でやったら 蝋の無い周りの部分に 蝋が溶けて泣き出してしまうので
仕事的に無理ですし。  (その都度 適した方法が有るのでイロイロ考えながら・・・)

この修正が思いの外 時間が掛かりますが、これをシッカリやっておかないと “上がり” に差が出ます。


残すところは 地色の染め。               終わりは見えてきた。
半日寝て風邪も幾分良くなったけどイマイチ。    (若い頃と違って無理が利かなくなってる・・・)



      BLOG INDEX へ



同じカテゴリー(訪問着 “李朝の松”)の記事画像
李朝の松 始末記
蝋取り 蒸し
地染 染料&媒染
彩色 広い場面
蝋伏せ 白蝋
蝋伏せ
同じカテゴリー(訪問着 “李朝の松”)の記事
 李朝の松 始末記 (2010-02-21 12:24)
 蝋取り 蒸し (2010-02-15 02:15)
 地染 染料&媒染 (2010-02-13 23:13)
 彩色 広い場面 (2010-02-11 00:11)
 蝋伏せ 白蝋 (2010-02-10 00:10)
 蝋伏せ (2010-02-09 00:09)

2010年02月12日 Posted by染師 麗 at 22:12 │訪問着 “李朝の松”


削除
白蝋起こし