裁寸

イロイロな雑用をこなし、さて寝かしておいた 着物の図案 は、どうかなぁ・・・

見直してみて図案としては “ヨシいこか!” となったんだけど、いまいち上がりが頭の中に しっかりしない・・・
普段なら、雛形を描いて 本図案を描き終わる頃には、大体の上がりがイメージできるんだけど
今回は それがイマイチ ハッキリとしてこない・・・    このまま本チャンに入ると キ・ケ・ン!
・・・って事で、一度 “帯” で試してみようと 帯図案を描いて、先に帯を染めてみる事に。
  (着物図案を描いていたので、割と簡単に帯図案は上がった)

・・・帯の染めに入る。

裁寸  ← 裁寸 (寸法を測る) してるところ

  ここで測り間違えると、上手く上がっても商品とならない。
  先ず 一番最初に緊張する仕事

  オレが使ってるのが “二尺指” (二尺のモノサシ)


オレラの世界では、未だに仕事をする時は メートルではなく “尺” を使ってるんだ。
四半世紀、この世界でやって来たので こと仕事の事は、メートルより尺の方がピンとくる。
 (普段の生活では、いくらジジィだといっても メートルの方がピンとくるんだよ)

さて、長さの単位 “尺度” は、衣料の売買・裁縫・建築・土木・測量 等々と
生活に重要な意味を持っていたんだけど、 “物指し” の構造は簡単である為 模造され易く
多様な 尺度 が、地方・職業によって存在したらしく、なかなか全国的な統一が難しかったらしいんだ。


裁寸  ← オレの使ってる二尺指 (くじら尺)
  ひとつの区切られてる部分が一寸
  小さい一目盛りが一分


ただ 制度的には定められてなくても “曲尺 (かねじゃく)” が、基準の 尺 の役目をしてたらしいんだ。
曲尺 っていうのは主に建築などに使用されてたのに対し、民間では着物・裁縫等に
“くじら尺 (呉服尺)” が使用されてたそうなんだ。   (くじら尺は曲尺の1.25倍)

昭和33年12月31日にメートル法以外の使用が禁止されたそうなんだけど
あらゆる分野に浸透した “尺貫法” は未だに痕跡を残してるんだね。
 ちなみに 10分=1寸、10寸=1尺、10尺=1丈   1尺=約37.8cm(くじら尺)、 約30・3cm(曲尺)

・・・さて、長くなってしまった。

裁寸  ← 裁寸して印を打ったところ

  間違えないように何度も裁寸して鉛筆で印を入れる

  左から △印が おなか
  〇印が お太鼓  |印が かえり

オレが師匠のとこにお世話になった頃には、おなか・お太鼓間の長さは 2尺4寸5分 だったんだけど
現在は 2尺6寸 になってるんだ。  段々と体型が良くなってるんだね。
 (着物も幅が広くなってるし、身丈も伸びてる)

長くなってしまったんで、今日はここまで。      チャンチャン!


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2008年10月30日 Posted by染師 麗 at 10:30 │仕業中

この記事へのコメント
おつかれさまです♪
昭和33年12月31日にメートル法以外の使用が禁止されたとは
初めて知りました。
ほんと麗さんのブログは為になることばかりで、
いろいろと勉強になります^^
寒くなりましたので、風邪には気をつけてください。
では、出来上がり楽しみにしてます♪
Posted by なまず at 2008年10月30日 21:19
なまず さん
いつも ありがとです。  
オレの持ってる資料によれば、33年12月31日という事です。
オレが、34年1月2日生まれなので、メートル法と ほぼ同じジャ!と記憶してます。
オレがガキの頃は、まだ大人の人達が 体重〇〇貫とか、身長〇〇尺とか言ってました。
なまずさんのお父さん・お母さん辺りなら、オレとほぼ同年代だから キット聞いた事あるんじゃねぇかなぁ・・・
時代はどんどん変わっていきます・・・       南無!
こちら東京も急に冬の気配が訪れました。 お互い風邪には気をつけましょうゼ!
Posted by 染師 麗 at 2008年10月30日 23:13

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