福寿の袱紗 染&媒染

地色を染めようと思ったら “染料が無い” といった事件???を経て、やっと地染に・・・

 → 

上写真のように ホーロー引きのずん胴 に染材を入れて煎じ、それを濾す。
この工程を4~5回繰り返して、その染液をまとめて濃縮して染料として使っているんだ。

  ←この染料を元にして、濃い色が欲しかったら濃縮して
  薄い色なら水で薄めて使う。
  色は、その都度 端切れに試して 色味を見るんだ。

  写真の染料は “蘇芳” といって主に朱系の色味に使う事が多い。


  大きな?沈殿物は底に沈んでいるけど
  マダマダ不純物が多いので、一度布で濾してから使用。

  そうしないと 染めた後から “擦れ” とか難が出る恐れがあるんだ。
  そうでなくても 染めてる間にイロイロ不具合が出てくるし・・・


今回の袱紗は、濃い目の紫地なので 蘇芳×鉄媒染 をベースに他染料を加えていく。
先ずは一回 蘇芳 を 引き染め      
  
ここまでが、昨日のうちにやっつけた事。


・・・さて、一夜明けて 本日、朝から もう一度ヘマチンと蘇芳を混ぜた染料を引いて
乾いたら次に “鉄媒染” をカマす。

  ←鉄の媒染剤はこんな感じの色なんだけど (濃い目)
  これで染料の色がカナリ劇的に変化するんだ。

  鉄媒染すると ほとんどの染料が暗い色に落ちていくんだ。
  それでいて、濃度はそれほど上がらず なかなか面白いよ!


 → 
 ↑ 媒染前                          ↑ 鉄媒染後




  さて、染めた生地が落ち着いてから乾くまでの間
  甲府の展示会が終ってから、何の面倒も見てなかった
  “相棒” の お掃除なんかやって呑気に・・・
  毎日の通勤、どっかへ行く時、チョットした荷物運び と
  ホント 良く働いてくれる “相棒” です。

  

今日は、カラッとした良い天気だったので “染” が進んだ。
朝から 染料を染めて、媒染して、その上にもう一度 染料を染めて終わりのつもりだったんだけど
いまいちピンと来ないので、もう一回 染料を引いて 地染を終る。  (ローも大分傷んで来たし)
結局 トータルで5回染めた事になるなぁ・・・      ジジィなかなかやるジャン!      じゃ!



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2008年09月26日 Posted by 染師 麗 at 00:49福寿の袱紗

福寿の袱紗 後処理

  染めも終って 後処理 に入る。

  先ずは、ロー取りから・・・
  濃い地色なので、今回は 新聞紙 でロー取り。
  アイロンで熱を加えてローを新聞紙に吸い取らせる。

  ←柄が 打ち合わない ように新聞紙を挟んで 
  “蒸し” の準備。

  出来るだけ フワ~ッ と巻く。 (蒸気が良く回るように)


  簡易蒸し器 (写真) に入れて40~50分ほど蒸す。

  今回は 袱紗 なので片側からだけで充分なんだけど
  着物 とかみたいな長い生地の場合は、途中で一回 内側と外側を
  巻き替えて 両側から蒸した方が いいと思う。 

  蒸しが終ったら ドライ に入るんだけど
  今回は5回も染めてるので、ドライ前に一度 水元 をする。
  (少々生地が染料で硬く?なってたのでそのままドライしたら
  摺れが出たかも知れなかったので)
  その後 ドライ をして、最終的な水元をして お・し・ま・い!

  普通なら 全工程終了後に
  “湯のし屋” さんに出して生地幅を整えてもらうんだけど
  今回は小物なので、乾き際 に自分で生地幅を整える。
  この後 完全に乾いたら アイロンを掛けて仕上げる。
  着物とかは 湯のし屋さんにお願いした方が無難だと思うよ。


・・・さて、これで 福寿の袱紗 の染め工程は お・し・ま・い!
付き合って読んでくれた方々 ども ありがと!

今回は、まるっきり染をやった事のない人には少々難しかったかと思います。  ゴメンして!
でも オレは大体こんな感じで仕事してるんだ。

これからも、もっと “染” をわかり易く説明して行きたいと思ってますんで ヨ・ロ・シ・ク・ネ!

          じゃ! 



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2008年09月27日 Posted by 染師 麗 at 00:11福寿の袱紗

福寿の袱紗  始末記

  無事に “福寿の袱紗” 上がりました。

  ←最後の水元を終え乾かしているとこなんだけど
  ヤッパ “染” は、透過光で見ると キ・レ・イ!
  顔料とかでの “塗り” だったら こうは行かないんだ。


・・・では、すべての工程が終ったので、白ローに どんな感じで染料が被ってるか比較してみましょうか。

  ←白ローを 濃淡 をつけて
  友禅した生地に置いた様子。

  照りのある部分がローの厚みがある
  照りの無い部分がローが薄い。




  ←全工程が終っての様子。

  上の写真と比べてみると
  照りのある部分は元の色に近く 
  照りの無い部分は地色が染みてるでしょ。

  こんなのも “ローケツ” の面白さの
  ひとつなんだ。




・・・それともうひとつ。 普通の 白糸目 と 色糸目 (今回は金茶) の違いも。

  
 ↑ 白糸目                         ↑ 色糸目 (金茶)
今回 刺し色も、地色も、ローを置いたのも全部一緒なんだけど 糸目の色だけで全然感じが違うでしょ。
白糸目だとクールな感じだし、色糸目だとウォームな感じ。
蛍光灯と白熱灯の違いみたい・・・  (どちらが良いというわけでは無く)

・・・と、こんな感じで このお仕事は お開き!   お・つ・か!

後は、オレの手を離れ 仕立て屋さんに オ・ネ・ガ・イ!

       ・・・仕立上がりました

これから、次の “染” に向けて “図案のネタ探し”
これが  楽しく キ・ツ・イ!                      じゃ!



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2008年09月27日 Posted by 染師 麗 at 20:33福寿の袱紗