福寿の袱紗  始末記

  無事に “福寿の袱紗” 上がりました。

  ←最後の水元を終え乾かしているとこなんだけど
  ヤッパ “染” は、透過光で見ると キ・レ・イ!
  顔料とかでの “塗り” だったら こうは行かないんだ。


・・・では、すべての工程が終ったので、白ローに どんな感じで染料が被ってるか比較してみましょうか。

  ←白ローを 濃淡 をつけて
  友禅した生地に置いた様子。

  照りのある部分がローの厚みがある
  照りの無い部分がローが薄い。




  ←全工程が終っての様子。

  上の写真と比べてみると
  照りのある部分は元の色に近く 
  照りの無い部分は地色が染みてるでしょ。

  こんなのも “ローケツ” の面白さの
  ひとつなんだ。




・・・それともうひとつ。 普通の 白糸目 と 色糸目 (今回は金茶) の違いも。

  
 ↑ 白糸目                         ↑ 色糸目 (金茶)
今回 刺し色も、地色も、ローを置いたのも全部一緒なんだけど 糸目の色だけで全然感じが違うでしょ。
白糸目だとクールな感じだし、色糸目だとウォームな感じ。
蛍光灯と白熱灯の違いみたい・・・  (どちらが良いというわけでは無く)

・・・と、こんな感じで このお仕事は お開き!   お・つ・か!

後は、オレの手を離れ 仕立て屋さんに オ・ネ・ガ・イ!

       ・・・仕立上がりました

これから、次の “染” に向けて “図案のネタ探し”
これが  楽しく キ・ツ・イ!                      じゃ!



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2008年09月27日 Posted by 染師 麗 at 20:33福寿の袱紗

福寿の袱紗 後処理

  染めも終って 後処理 に入る。

  先ずは、ロー取りから・・・
  濃い地色なので、今回は 新聞紙 でロー取り。
  アイロンで熱を加えてローを新聞紙に吸い取らせる。

  ←柄が 打ち合わない ように新聞紙を挟んで 
  “蒸し” の準備。

  出来るだけ フワ~ッ と巻く。 (蒸気が良く回るように)


  簡易蒸し器 (写真) に入れて40~50分ほど蒸す。

  今回は 袱紗 なので片側からだけで充分なんだけど
  着物 とかみたいな長い生地の場合は、途中で一回 内側と外側を
  巻き替えて 両側から蒸した方が いいと思う。 

  蒸しが終ったら ドライ に入るんだけど
  今回は5回も染めてるので、ドライ前に一度 水元 をする。
  (少々生地が染料で硬く?なってたのでそのままドライしたら
  摺れが出たかも知れなかったので)
  その後 ドライ をして、最終的な水元をして お・し・ま・い!

  普通なら 全工程終了後に
  “湯のし屋” さんに出して生地幅を整えてもらうんだけど
  今回は小物なので、乾き際 に自分で生地幅を整える。
  この後 完全に乾いたら アイロンを掛けて仕上げる。
  着物とかは 湯のし屋さんにお願いした方が無難だと思うよ。


・・・さて、これで 福寿の袱紗 の染め工程は お・し・ま・い!
付き合って読んでくれた方々 ども ありがと!

今回は、まるっきり染をやった事のない人には少々難しかったかと思います。  ゴメンして!
でも オレは大体こんな感じで仕事してるんだ。

これからも、もっと “染” をわかり易く説明して行きたいと思ってますんで ヨ・ロ・シ・ク・ネ!

          じゃ! 



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2008年09月27日 Posted by 染師 麗 at 00:11福寿の袱紗

福寿の袱紗 染&媒染

地色を染めようと思ったら “染料が無い” といった事件???を経て、やっと地染に・・・

 → 

上写真のように ホーロー引きのずん胴 に染材を入れて煎じ、それを濾す。
この工程を4~5回繰り返して、その染液をまとめて濃縮して染料として使っているんだ。

  ←この染料を元にして、濃い色が欲しかったら濃縮して
  薄い色なら水で薄めて使う。
  色は、その都度 端切れに試して 色味を見るんだ。

  写真の染料は “蘇芳” といって主に朱系の色味に使う事が多い。


  大きな?沈殿物は底に沈んでいるけど
  マダマダ不純物が多いので、一度布で濾してから使用。

  そうしないと 染めた後から “擦れ” とか難が出る恐れがあるんだ。
  そうでなくても 染めてる間にイロイロ不具合が出てくるし・・・


今回の袱紗は、濃い目の紫地なので 蘇芳×鉄媒染 をベースに他染料を加えていく。
先ずは一回 蘇芳 を 引き染め      
  
ここまでが、昨日のうちにやっつけた事。


・・・さて、一夜明けて 本日、朝から もう一度ヘマチンと蘇芳を混ぜた染料を引いて
乾いたら次に “鉄媒染” をカマす。

  ←鉄の媒染剤はこんな感じの色なんだけど (濃い目)
  これで染料の色がカナリ劇的に変化するんだ。

  鉄媒染すると ほとんどの染料が暗い色に落ちていくんだ。
  それでいて、濃度はそれほど上がらず なかなか面白いよ!


 → 
 ↑ 媒染前                          ↑ 鉄媒染後




  さて、染めた生地が落ち着いてから乾くまでの間
  甲府の展示会が終ってから、何の面倒も見てなかった
  “相棒” の お掃除なんかやって呑気に・・・
  毎日の通勤、どっかへ行く時、チョットした荷物運び と
  ホント 良く働いてくれる “相棒” です。

  

今日は、カラッとした良い天気だったので “染” が進んだ。
朝から 染料を染めて、媒染して、その上にもう一度 染料を染めて終わりのつもりだったんだけど
いまいちピンと来ないので、もう一回 染料を引いて 地染を終る。  (ローも大分傷んで来たし)
結局 トータルで5回染めた事になるなぁ・・・      ジジィなかなかやるジャン!      じゃ!



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2008年09月26日 Posted by 染師 麗 at 00:49福寿の袱紗

福寿の袱紗 蝋伏せ

  ヤッパ 小物は仕事に掛かると どんどん進む。
        ・・・ヨシヨシ・順調・順調!

  前回までの “友禅” が終ると 
  糊伏せ (又はロー伏せ) して、地色を染めるんだ。

普通一般的には、地色が被らないように しっかり防染するんだけど
今回は “白ロー” を使って地色を染みさせるんだ。  (調子)


  白ローは融点が低いので、冬でもヒーターの中心には置かないけど
  まだまだ暑さが残るので、一番端に置いても十分溶けてる。

  ・・・というより、ここより中心に近いとこに置くと 仕事がやり辛くなる。
  (気温が高いと ローがなかなか固まらず 滲んでいってしまうんだ)



この “白ロー” を使って友禅した部分を伏せていくんだけど、その時に

 ↑ の様に ローに濃淡をつけて置いてくんだ。 
(照りのある部分がローの厚みのあるところ、照りの無い部分はローの薄いところ)
ローの厚い部分はしっかり防戦するし、薄い部分は染みていくんだ。


・・・さて、地色を染めようと思ったら染料が無い!    やっちまった・・・

泥棒を捕まえてから縄をなう ボケナス仙人であった・・・          チャンチャン!



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2008年09月24日 Posted by 染師 麗 at 22:33福寿の袱紗

福寿の袱紗 彩色

  ここのところ土・日に野暮用が続いて仕事なかなか進まず・・・

  小物は仕事に掛かれば 割と早いんだけど・・・
  この袱紗は、まだ試作品なので早くやっつけなきゃ・・・
  チョットづつ焦りながら仕事に励む仙人であった。


前回の “糸目” と今回の “彩色” をまとめて、大雑把に “友禅” というんだけど
オレは、友禅のみで仕事を上げる事は無いので それほど得意分野という事では無いんだ。
友禅を主としてやってる人達から見れば “まだまだ小僧” といった感じだと思う。   きっと。
友禅について もっと詳しく説明してくれるサイトを見つけたら また紹介します。

   ・・・てな分けで、今回は彩色。


前回の 糸目 を引いた中に 染料を 刺していくんだ。
ずっと前にも説明してるんだけど “塗る” では無く “刺し” と言うんだ。
刺青の “刺し”  オレは そう解釈している。  抜染しても、跡が残るような根性の入った “刺し”
そんな気合の入った仕事をしていきたい。    マダマダだけど、いつかきっと!


この 刺し をやる時には、裏側から火で煽ってやるんだ。 (大体今は何処でもヒーターを使ってると思う)
そうする事によって生地の裏側まで染料を引っ張ってやる事が出来て、表裏の差が少なくなるんだ。
  (水分は乾く方に寄って行くので染料が裏まで抜けるんだ)

  
 ↑ 生地の表                       ↑ 生地の裏

それに生地を暖めてやる事により 繊維の染まる部分の口が開き より有効に染められるんだ。
その上 どんどん乾くので 仕事もはかどる。  ・・・と、良い事尽くめ。


・・・が、夏季にはケッコー あ・つ・い!  (ケッコーというよりカナリかな?)
だんだんと秋の気配を感じる 今日この頃とはいえ、まだまだ あ・つ・い!
扇風機をかけ、汗を生地に垂らさないよう 気をつけながらの お仕事模様 でした。   チャンチャン!



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2008年09月23日 Posted by 染師 麗 at 21:57福寿の袱紗

福寿の袱紗 糸目

  展示会の区切りが付いて、次に向かう時は
  図案を描き初めるとこ (何も無い状態) からのスタートなので
  図案のネタが思いつくまで “廃人” のような暮らしなんだけど
  釉美屋さんの京都展に出品する小物の制作のお陰で
  ウォーミングアップが、順調にいってるって感じ・・・


   ・・・現在 袱紗の 糸目 に掛かっております。

  
↑ こんな感じで仕事中                 ↑ 手元はこんな感じ

上の写真は普通のゴムのりを使ってるんだけど (糸目が白で残る) 他に色ゴムのりのヤツも作るんだ。


↑ こいつは普通のゴムのりに染料を混ぜてあって、ドライしてゴムのりを落としても糸目に色が残るんだ。
オレが師匠のところに入った頃は、染料店で売っていたのだけど
見た目の色に上がらなかったり (細いので周りの染料に影響されたりする)
トラブルがあったようで、今ではお店では売っておらず自分で作らなければならないんだ。

普通のゴムのりなら割と短時間で乾くのだけど (揮発油分が飛んで)
色ゴムはなかなか乾かず いつまでもベタベタしていて (染料とゴムのりを混ぜるオイルのせいだと思う)
手にくっついたり 他の部分に打ち合ったりするので、いくつかを並行しながらやってるんだ。


最後に 揮発地入れ をして、今回は “友禅” をやるので 地入れ をカマす。


   そんなこんなで社会復帰中・・・    チャンチャン!           じゃ!


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2008年09月18日 Posted by 染師 麗 at 22:44福寿の袱紗

福寿の袱紗 下絵写し

  袱紗の図案も出来上がって (ホントはもう出来上がってた・・・)
  先ずは 下絵写し から始める。
  オレの場合は、図案を描いた後は 先ずこの作業。
  なかなか地味な作業だけど、設計図から本番へと移る為の
  とても大切な仕事。


   どんな感じかというと・・・

  下からライトであおらなくても
  ←これ位には見える。

  図案をマジックとかで塗りつぶせば
  もっと良く見える。
  (勿論 生地の厚さにもよるけど)



  ヤッパ下からライトであおると 
  ← 一段と良く見える

  これを後から消える アイ花 といわれるヤツで
  トレースしていくんだ。 (青花ともいう)
  昔は 露草の汁で、水に濡らすと消える。
  今は 化学アイ花と呼ばれ、蒸しで消える。
  (・・・しかし絶対消えるとは限らないので注意!)

   ・・・こんな感じで作業は進む。 (オンボロエンジンから火を噴かないよう注意しながらボチボチと)


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2008年09月17日 Posted by 染師 麗 at 09:46福寿の袱紗

福寿の袱紗 図案

昨日は 釉美屋 さんが来て、来年明けの釉美屋企画の京都展の打ち合わせ。
手持ちの着物の中から2点、新作着物1点、それと小物を出品する事となった。


  新作の着物の図案はこれから考えるとして
  小物は安全牌で行こうかと・・・
  ←こいつは以前に創った 福・寿の袱紗
  なかなか お嫁に行ってくれない仙人の作の中 での
  お嫁さん候補 上位の柄  (釉美屋さんも気に入ってくれてるし)



以前に創ったヤツより、もっと効果的に柄が出るように図案を描き直して



ここのところ 以前の図案の 焼き直し が多いけど、それはそれで頭使うし
夏の間 “完全停止” していた ドタマ のウォーミングアップには丁度いいんじゃねぇの・・・

なによりも  “創る事のできる喜び”   それが シ・レ・ウ~!

     マタオキアガル マタアルキダス マダマダ・・・・・・ 



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2008年09月11日 Posted by 染師 麗 at 10:40福寿の袱紗

風林火山 BERG展 終了

お陰様で 甲府のフランス料理店 BERG のギャラリーでの展示会 終りました。

  なにせ “フランス料理店” という普段のオレには 
  まったく縁のない場所での展示だったので
  毎回、行く度に BERGさんのお客さんに
  失礼が無いようにと緊張しまくり・・・
  ・・・が、本人の心配とは裏腹に 
  ケッコー気さくに声を掛けてもらって助かった。 

何はともあれ 無事に展示会が終ったので一安心。  また次に向かって・・・

会場写真 WORKS から、覗いて見てやって下さい。

澄子さん・神村さん わざわざ来て頂き ありがとうございました。  もう少しユックリしてもらえれば良かったんですが・・・
榎本さん 遠路はるばる来て頂いたのに お会い出来ずスミマセンでした。  芳名帖のお名前を見て励みになりました。
草間さん いろいろありがとうございました。  お陰で楽しかったです。

BERGさんでお会いした皆様、応援してくれた皆様、わざわざ来て頂いた方々
本当に どうも ありがとうございました!



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2008年09月01日 Posted by 染師 麗 at 21:00BERG