白付け (暖簾)

先日の BERG での 初冬の展示会 の折、注文を受けた “暖簾” の仕事に掛かる。
 (注文はあまり受けないのですが、人を見て???)

“雲文様の白抜き” の お仕事。   基本中の基本 “白付け” による仕事。
白付けによる “ただの白抜き” の仕事というのは、とっても シンプル で 地味 なお仕事。
しかし、その人の “腕” がはっきりと出てしまう キビシー! お仕事でもあります。
(フィギュアスケートで例えれば 調子起こし は フリー演技、白付け堰出し は 規定演技って感じ)

文様染における 染 の場合、如何に “染まらない部分” を作るかという事に尽きると思います。
その 染まらない部分 を シッカリと作れる事が 始めの一歩 だと オレは思っています。

さて、能書きはこれ位にして・・・

白付け (暖簾)  ← マイクロワックス という 融点が高く 粘りのある
  蝋を使用して、端から順繰りに置いて行く。
  左端の柄の部分に 照り が有るのは重ね置きしてる為。
  防染力の高い蝋 とはいえ、一度置いただけでは染料が
  浸みてしまう事もあるので、シッカリ抜く為 重ね置きする。
  他の 白蝋やパラフィン等も 重ね置きすると防染力は
  上がりますが、蝋が厚くなると割れやすくなります。

蝋を重ねておく場合 最初に置いた蝋の温度が 冷え切ってしまうと その温度差の為か 次に置く蝋が
冷えた後 剥がれてしまう事がありますので、幾分余熱があるうちに2度目を置いた方が 良さそうです。



白付け (暖簾)  また、筆も 温度のせいで もの凄く傷みます。
  ← 同じサイズの筆 上:白蝋使用 下:ワックス使用
  上の傷んでない筆の方が良さそうですが、白付け等
  ワックス使用の場合 上の筆では 筆先の温度が
  冷えてしまい 仕事が しづらい事が多々あります。
  (特に冬場のように周りの気温が低いような場合)
・・・なわけで、蝋筆は 融点の低い 白蝋で下ろして 少し傷んだらパラフィン そしてマイクロワックスへと
順繰りに 使い回して行くのが良さそうです。

白付け (暖簾)  ← 新品の筆に比べると 蝋の含みが だいぶ少なくなりますが、
  新品の筆の場合 筆先が長く 融点の高いマイクロワックスでは
  すぐに 蝋の温度が下がってしまい 使いづらいです。
  意外と このチビた筆の方が 筆中心の 蝋の温まった部分に
  近いせいか 仕事はしやすいです。
白付け (暖簾)  ただ、棒のような筆の為 細い部分の仕事が やりづらいですが
  そんな時は “刷毛” のように筆先をつぶして 細い方向で
  使います。  上写真は刷毛のように つぶした 幅の 広い方。
  ← こちらは それを 90度 回転させた 幅の 狭い方。



白付け (暖簾)  また、暖簾生地のように 生地の厚みがある場合
  生地の裏側まで 蝋が入りづらく 写真中央のように
  (白く見える部分) 蝋が抜けていない所も多々できます。
  暖簾のように 表裏 両側から見られるような場合は
  裏面からも 蝋を 重ね置き して、両面から ガシガシ
  染めた方が 絶対 綺麗な上がりになります。
  手間を惜しまず “イイ仕事” をして行きましょうぞ!


今年も残すところ 3週間とチョイ・・・ 
東北地方での 震災の傷跡 は未だ癒えていませんが、その事も心のどこかに留め置きながら・・・
皆様、風邪など召されませんように 健康にお過ごし下さい!


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2011年12月09日 Posted by染師 麗 at 09:41 │仕業中


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