蝋取り 蒸し

染師 麗

2010年02月15日 02:15

仕事もほぼ終わり 最後の 蒸し・ドライ・水元 に掛かる前に もう一仕事。

  肩の部分の お月様の彩色に掛かる。

  ← マイクロワックスで伏せてあったので 白く抜けている。
  蝋取りしたアイロンの熱で 柄の周りが幾分反応して
  濃くなり始めている。  (蒸しをするとこの地色が紺になる)

  ← 柄の周りを “堰出し” して 淡い黄色を刺す。 

  アイロンでマイクロワックスはかなり落としてるものの
  まだ 蝋分は残っているので 染料に “浸透剤” を
  入れないと 蝋分にはじかれてしまい なかなか染まらない。

  彩色した染料が乾いたら お月様の陰影を
  白蝋で “調子” で置き 蝋の上でも はじかれないくらいの
  浸透剤を入れた染料(グリーン)で彩色(掛色)する。
  (彩色後 生地が傾いてると 染料に浸透剤が入っている為
  流れやすくなってるので注意!)


これで 李朝の松・着物の 染工程は全終了!    最後の  “脱蝋”  の為の工程に入る。


  ← 先ずはアイロンによる 蝋取りから。

  蝋の上の染料を 生地に “じわ~っ” と染みさせるように。
  (今回地色は濃いので新聞紙での蝋取りでも問題無し)
  新聞に蝋が付かなくなるまで 数回繰り返す。

  ← 蝋取りが終ったら “蒸し” に入れる準備。

  他の工房では ここら辺から外注に出してるんだけど
  オレは “簡易蒸し器” で自分で蒸しもやる。
  ← 蒸しの前は こんな茶っぽい地色ですが・・・

  蒸しを 4~50分程してやると あ~ら不思議

  ← こんな 紺地になってしまうんですね。
  “クロム媒染” は最後の蒸しが終るまで 色が分からず
  それが大変でもあり 楽しみでもあったりします。



後は “ドライ” をして完全に蝋分やゴム糊を落として (他の工房では外注、オレは実家がドライ屋なので自分)
“水元” をして生地に残っている余分な染料を洗い落としてやります。 (これも他工房では外注)
その後に 小針で歪になった生地幅を整える “湯熨斗(ゆのし)” (これはオレも外注)をして
着物の形に仮縫いする “絵羽(えば)” (外注)をして 出来上がり。

  ← オレの出来る全工程を終え 元の一反に戻して
  湯熨斗屋さんへ持って行く準備も終る。
  湯熨斗をしてもらってから 最後の上絵羽へ。

  ← 反物の横に置いてある端切れは、今回の色創りに使用したもの。

  残すところは 絵羽が上がって来るのを楽しみに待つだけ。




今回 以前にやった事のある仕事で 工程もある程度把握してたので、出来るだけ分かり易いように
解説したつもりですが、自分で “染” をやらない方には ??? だったかもしれませんね。
もっと 染をやった事の無い方にも興味を持ってもらえるよう 努力してきますが、“度量未だ追いつかず”
・・・といった感じでしょうか。    まぁ ボチボチと頑張っていきます。
分からない部分については お気軽に質問して下さい。  (コメントからでもメッセージからでも)
時間が掛かるかもしれませんが必ず返答しますので。



では、つき合って読んでくれた皆さん ども ありがと!              じゃ!



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