手熨し (てのし)

さて、清正公 (加藤清正の事を熊本の方々はこう呼ぶ) のタペストリーも無事 蝋取り、蒸し、ドライが終わり
最後の仕上げの工程 “水元” をする。   
この後、着物や帯などは “湯熨し(ゆのし)” といって生地幅を整える工程に入れるんだけど (オレは外注)
暖簾などの広幅の生地になると 湯熨し屋さんの機械の幅では追いつかなくなって 湯熨しが出来なくなるので
(男物の広幅までは充分出来るようですが) 水元の上がった段階で 自分で生地幅を整えてやります。

手熨し (てのし)  ← 水元を終え 生地を絞って張った状態

  生地の縁が 小針を張った跡が残ってデコボコしている。
  このデコボコを 元の白生地の様に真っ直ぐに直してやるんだ。


手熨し (てのし)  ← 凹んだ部分を 両手で引っ張って 小針の張られていた
  凸っぱった部分に合わせてやるんだ。
  絞って張って 生地が未だ濡れてる時に大雑把に一回やって
  更に生地を張りなおして、乾き際に 丁寧にもう一回。
  後は完全に生地が乾くまで、そのまま張って置く。

生地が完全に乾く前に外してしまうと また生地がヨレヨレになってしまうので、完全に乾くまでジッと待つ。
その後 アイロンで最終的な仕上げをやれば、かなり綺麗に上がりますよ。    試してみてチョ!


さて、ドライ・水元(手熨しも)が終ってみると・・・

手熨し (てのし)  手熨し (てのし)
↑ 生地表から                ↑ 生地裏から
生地の表裏では 染料の染み方が 大分違いました。  多分この違いは生地の厚みのせいだと思うんだ。
(生地の厚みのせいで表から置いた蝋が裏に抜けるまでに蝋の多い部分と少ない部分の差が出来てしまう?)

最初の考えでは “彫刻” のような感じに上げたかったのだから 生地表から見た様な感じでいいんだけど、
生地の 表裏 の中間くらいの感じでも 良かったかな?とも思う・・・

今回の仕事は ホントに No gimmick , No trick といった “直球・ド真ん中勝負” といった感じで、
オレも やっと “いっちょ前” の仲間入りが出来た? と思えたかな。    (この世界に入って28年・・・)
マダマダ先の長い 修行の途中の身だけど、これからが楽しみ。     ・・・ってか。    チャンチャン!


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2010年03月02日 Posted by染師 麗 at 22:33 │仕業中


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