工程表発表?

生地も仕入れたし、ボチボチと秋の展示会やら 来年の “あーとらんだむ” に向けての制作を始めないと・・・
しばらく制作から遠のいていたので、“リハビリ” を兼ねてタペストリーなんぞから・・・

今回は 少々趣向を変えて、最初に “工程表” を発表?してから仕事をしてみようかなと考えました。
 ↓ 最終的には 帯にしようと思っておりますが、今回はこんな感じで 阿修羅をシルエットで白抜タペストリー。

  1 : 下絵写し
  2 : 表鉛筆 (本来は“裏鉛筆”ですが・・・)
  3 : 阿修羅 を白付け (両面)
  4 : 最初の地色 (蘇芳×アルミ) 途中 渋木 の垂らし込み
  5 : バック 炎 を白蝋起し
  6 : ドライヤーあぶり
  7 : 三度黒の ヘマチン&鉄 まで全体染め
  8 : 最後の 重クロム酸カリ を炎の回りでぼかす
  9 : 蝋取り・蒸し・水元・ドライ
      完成

こんな工程でと考えておりますが、如何なりますやら・・・        乞う御期待!

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2010年08月28日 Posted by 染師 麗 at 09:30修羅 タペストリー

修羅 1

さて、いよいよ仕事に掛かるのですが・・・         工程表


  ← 工程 1 : 下絵写し

  市販の 化学アイ花 は、“蒸しで消える” となってますが
  残ってしまう事もありますので、水で薄めて使用した方が
  最終的に あい花の跡が残る リスク が少なくなります。


  ← 工程 2 : 表鉛筆 (裏鉛筆)

  化学アイ花も水で消えてしまうので、地染をした後に
  “あたり” が分かるように 鉛筆で生地表に直に描く。
  本来は “生地の裏側” に描くのですが、作業の工程&
  今までの経験から 表側に直接。

  ← 工程 3 : 白付け

  防染力の強い “マイクロワックス” を使って 白付け。
  防染力が強いといっても “一度置き” では染料が染みてしまい
  左写真の様な 蝋の重なった部分が 汚く染みてしまいます。


  ・・・なので、バッチリ白抜きをしたい場合

  一度目に置いた蝋が少し冷えてきたら その上から
  もう一度 蝋を置いて 蝋に厚みを付け より防染力アップ。
  重ねた蝋がガサガサしてると 薄い部分から染みる事があるので
  出来る限り 蝋の表面は ノッペリと・・・

  着物 や 帯 の様に裏生地が付く場合は それ程気にしなくても
  大丈夫ですが、“タペストリー” なので 裏からも見られますので、
  裏側も蝋を2度置き。  その作業に少々時間が掛かりますが
  それをやっておけば心置きなく裏側からもガシガシ染められます。
  (この準備が良い作品を上げる近道だと信じてます)


  ← 工程 4 : 最初の地染

  先ずは 阿修羅の周りの炎の色創り
  “蘇芳” を 引き染
  心配なく裏側もガシガシ染める。


  ← 最初の染料 “蘇芳” を染め終えて。

  未だ濡れてるので、見た目はボチボチ濃いですが乾くと
  もっと淡くなってしまいますので数回 染重ね。

       ・・・で、本日の仕業 無事終了!

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2010年08月28日 Posted by 染師 麗 at 22:22修羅 タペストリー

修羅 2

オレの工房を訪ねてくれる方々のお相手をしながら 仕事もボチボチと進めてるわけで・・・

今回は全部 工程 4 : 最初の地色創り&垂らし込み の巻であります。        工程表

  今回 “炎” のオレンジっぽい部分も創りたいので
  ← 渋木を 染 と一緒に “垂らし込み” します。
  後から全体をアルミで媒染するので、渋木の染液だけで
  良かったんだけど、たまたま 一液媒染剤 と混ぜた
  濃いめの渋木があったので それを使用。

  ← この地色 (蘇芳) で既に3回染めてあります。  (未媒染)
     (煎じてから少々時間が経っていて淡くなってるので)

  乾いてる状態の生地にいきなり 泣き止め を混ぜた
  渋木 (渋木に一液アルミが混ざってる) で 殴り描き???


  その後 大体の調子を取ったら 全体的に 蘇芳 を引き染。

  今回 裏も蝋の2度置きをしてるので生地裏もガシガシ染める。
  この段階では 細かい事を気にしないで ガシガシ行く。

  ← その後 今度は “垂らし込み”

   (垂らし込みといってもイロイロな技法があるようですが
   この場合は染料が落ち着いてきて まだ濡れてるうちに
   他の染料を乗せてボ~ッとした滲みを作る事だと思って下さい)

  ← それが乾いて。

  阿修羅の周りが 朱色になってるのは 垂らし込んだ
  渋木に 一液アルミ が混ざっていたので (前述)
  そのアルミに地色の蘇芳が反応した為。

  ← 上の状態の後に アルミで媒染をして乾いた図。

  丁度 見学?勉強?しに来る “お客さん” があったので
  “媒染するとこんな感じで色が発色するんだよ” っていうのを
  見せて上げたかったので、来客に合わせて・・・


第2ラウンド・・・

  ← 更に “色の重なり” を創りたいので 前述の 渋木 に加え
  蘇芳に やはり一液のアルミを混ぜた染料に “ハッタリ” をつける為
  化学染料の赤を混ぜた染料で 更に “垂らし込み”
  (共に“泣き止め”を混ぜてある)


  ← 前述の工程と同じ様に 2色を回りの様子を見ながら
  ガシガシと描き殴って?行きます・・・




  その後に 前述の工程と同じく 蘇芳 を引き染して
  2色を 垂らし込んで行きます。

  こんな感じで 何回もこの作業を繰り返せば それだけでも
  ケッコー面白くなりますが、今回は “蝋ケツ仕事” なので。

  ← 2回の 垂らし込みを 終えて 現在こんな感じ。

  これから次の段階 “白蝋起こし” に入って行きます。

  でも、その前に少々軽い問題が・・・    チャンチャン!


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2010年08月30日 Posted by 染師 麗 at 22:22修羅 タペストリー

修羅 3

9月に入ったってぇのに涼しくなる気配がありませんネェ・・・       工程表

今回は “工程表” に載ってない工程の登場・・・?    (工程で言えば 4 と 5 の間)

  ← 周りの炎の部分の下染めが終ったんだけど
  炎の部分を “表鉛筆” しておいたにもかかわらず
  かなり “あたり” が、見えづらくなってしまっている。

  このまま 白蝋起こし に入ってもあたりが良く分からず
  時間ばかりが掛かってしまうので・・・

  ← 図案 と 僅かに見える鉛筆あたり を頼りに
  もう一度 アイ花で炎のあたりを起こしていく。

  (もっと濃い鉛筆でガシガシと描いておいても良かったんだ・・・)

  ← 周りの地色もボチボチと濃くなってるので
  アイ花も濃くないと良く分からない・・・
  その上 地色が赤いので眼がチカチカしてくる・・・
  思った以上に時間が掛かった鉛筆起こしでした。
  
  リスクをとるか、無難に行くか 選択にいつも迷います。

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2010年09月01日 Posted by 染師 麗 at 21:21修羅 タペストリー

修羅 4

最初の地染をしてから 扇屋さんに引き合いに行ったり、バイト三昧で しばし休憩しとりましたが 再開。

今回は 工程の 5番目  “白蝋起こし”             工程表

  白蝋で調子を付けながら 後ろに見える部分から “起こし” て
  行きます。  (手前に見える部分ほど後からの蝋置きになります)

  ← 画面で “照り” のある部分が 蝋の厚みのある部分。
  “照りのある部分” は蝋が 厚く 染料をはじきます。
  “照りの無い部分” が蝋が 薄く 染料が少し染みていきます。

  ← 毎日の酷暑の中、蝋鍋を隣に置いての お仕事。

  汗を生地に垂らさないよう 扇風機を直当てのため体力の消耗も
  は・げ・し・い・・・  (見た目の動きは少ないけど肉体労働です)

  ← 地道に一つずつ蝋を 起こしていきます。

  夏場と冬場では部屋の温度がまるで違う為 蝋が固まる時間も
  夏と冬では違います。  同じ蝋でも 冬場は蝋がすぐに固まり
  夏場は なかなか固まらず周りに滲んで行ってしまいます。
  その為に 夏場には白蝋の中に 融点の高い “マイクロワックス”
  を混ぜて 早く固まるようにします。
  冬場は逆に ラードなどを混ぜて 蝋がユックリ固まるように
  調整してやります。  その為 夏と冬では “蝋のタッチ”が
  少々違います。  (仕事途中の感じも、上がりの感じも)

  ← そんなこんなで 本日のお仕事 無事終了!  チャンチャン!

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2010年09月04日 Posted by 染師 麗 at 22:22修羅 タペストリー