簡単・草木染め (玉葱)

さて、無事に “CAPARISON” の展示会が終って、一息つく間も無く・・・

CAPARISON展で “ストールみたいのは無いの?” という事を訊ねられ、今回 時間が無く創れなかったので
次の展示会 “BERG” に向けて、あまりコストを掛けないで 綿モノでストールやハンカチなど作ろうかと・・・


丁度良い機会なので、手に入り易い材料で  “草木染め”  と呼ばれる “染” を御紹介。

今回 使う材料は、 玉葱の皮 ・ 明礬(みょうばん) ・ 出来ればホーローの鍋 

準備 その1
  ← 玉葱の皮を煮出す。

  煮出す際に 鉄やアルミの鍋だと 玉葱の皮から
  出た染料に 鍋の金属分が反応してしまうので
  出来れば ホーロー引きの鍋が お勧め。



  ← 煮立って来てから10~20分位でざる等で
  染料を濾す。 ケッコー濃い?染料が採れる。
  これを 2~3回繰り返して染料を採る。

  (あまり何度も繰り返しても染料の濃度が薄く
   なるだけなので、濃い染料が欲しかったら
   採取した染料を煮詰める)

準備 その2
  ← 新品の生地は 糊などの不純物が
  付いてるので、染める前に一度洗っておくと
  染色後の色落ち等が少なくて良い。



採取した染料をまとめて 雑巾などで一度濾して 鍋に戻して、出来れば少々 火に掛け熱を加えながら

本番
  ← 準備していた生地を 端から絡まない様に
  染料液の中に浸していく。  
  (この時 生地は軽く水につけ 絞っておく)

  染めている間 “熱” を掛けてやっていると
  繊維の染まる部分が開き、染まり易くなるんだ。


  ← 染浴の中に 浸したままにしておくと ムラが出来たりするので
  よく動かして 生地の各部分が 染液 に良く触れるように。

    

ある程度 染まってきたら (無地なら10分位かなぁ・・・)

  ← 染液を軽く絞って、一度水洗して
  (染料がしばらく出てくるけど大体で)

  次の “媒染” に向けて軽く脱水。

一般の方は ここまでやってきた事を “草木染め” だと思われてる方が多いと思いますが 未だ途中です。

  ← 左写真の ほぼ透明に見える液体が
  オレが普段仕事で使ってる 酢酸アルミ。
  皆さんはスーパーなどで売っている明礬が
  手に入れ易いと思います。(ほぼ同じ?)

今回は “熱” を掛けなくてもOK。 このアルミ等の金属分を掛けてやる事を “媒染” と言います。

この 媒染 により 染料の色素が “発色” してきます。
(絹の場合、金属分を吸収する部分を持っているので “定着” と言う働きもあります)

これまた ムラの無い様に広げたりしながら よく動かします。 (2~5分位)

  その後 良く水洗して あまり色が落ちなくなったら
  乾かして お仕舞い!  お・つ・か!

  ← ただ 染液に浸しただけの色 とは違い
  綺麗に “発色” してますね。
  アルミで媒染すると明るい発色、鉄で媒染すると
  暗い発色が得られます。 (大雑把に・・・)

染色物の濃度を上げたかったら、この工程を数回繰り返せばイイヨ!
出来れば、会を追うごとに 染液の濃度を濃くして染められると 尚良いです!

さて “アルミ” は 明礬として手に入れやすいのですが “鉄” はというと・・・
染料店などで手に入れることも出来ますが (オレの技術ブログのサイドバー等)
大き目のビンに 鉄の釘などを入れ 水に漬けておくと 徐々に鉄が溶け出してきて
手作りの 鉄 の媒染剤を作る事ができます。
その際に “酢酸” 等 (無ければ酢でも可) を一緒に混ぜると 鉄の溶け出す時間が早まります。

アルミ と 鉄  この2種類の媒染剤があると、かなりな種類の草木染めを楽しむ事が出来ると思います。

また、染材料としても ヨモギ等をはじめ 手に入れやすい材料が多々あるので、本等で調べてみて下さい。

ほとんどの 染材料は 上の方法 (煮出す) で染液を抽出する事が出来ます。
※ ただ、綿の場合は その染料のみで繊維に吸着される染料 (例えばタンニン系の染料等) でないと
洗っていくうちに ドンドン色が落ちてしまうので、気を付けて下さい。
   (失敗を恐れずにイロイロなものにチャレンジしてネ!)


今回の 玉葱の皮 の染料ですが、古代エジプトの頃から使用されてるようです。 (←うろ覚え・・・)
また、明礬 は 硫酸アルミニウムカリウム といったメンドクサイ名前です。  (水に溶かして使ってね)



 オマケ
仙人様の大分くたびれてきた作務衣を “エ~イ!” と染めたら・・・
 → 
“ヒエ~!” 摺れたり生地の傷んでる部分に より多くの染料が吸収されて 余計にくたびれて見える・・・
 (着ている人間が くたびれてるので、丁度いいか・・・)
新品の状態で染めたら ケッコー渋いイイ色になったんだけどなぁ・・・     し・っ・ぱ・い!



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2009年11月08日 Posted by 染師 麗 at 11:44簡単染め

簡単・輪ゴム絞り

前回 玉葱で染めた ハンカチ・ストール に模様を付ける。  今回は簡単に “輪ゴム” で絞りなんぞ・・・


  ← 前回 玉葱・アルミで染めたハンカチ

  生地を引っ張って “輪ゴム” を
  少々キツメに巻き付けて行く。

  ← 輪ゴムをキッチリ巻き付けたら
    一度 水に浸ける
  (しばらく浸けて輪ゴムの中に水が染みるまで)


“水に浸ける” というのは、その 絞られた部分 に先に水が入り込んで、絞られた部分に含まれた水が
後から来る 染料(媒染剤) を “防染” するからなんだ。


  ← 写真左はオレが仕事で使ってる木酢酸鉄

  鉄の中に 輪ゴムで絞って、一度 水に浸けた
  ハンカチを浸して 鉄媒染 する。

  輪ゴムで絞った部分の際を 良く広げて
  ムラの無いように 全体的に良く浸す。

  (これを他の染料などでやっても勿論OK)

  ムラの無いように染めたら 良く絞って
  水でよく洗う。  (数回水を交換しながら)
  あまり色が出てこなくなったら 良く絞って
  輪ゴムを取る。(輪ゴムをとった部分が元の色)


  後は乾かして お・し・ま・い!

  ← 今回 上記で解説してた ハンカチ

  輪の部分の黄色は 前回染めた玉葱×アルミの色
  地色のオリーブグリーンは それに鉄を掛けた色
   (玉葱×アルミ×鉄)


この ”輪ゴム絞り” は簡単で 労少なく 効果が得られるので 是非試してみてチョ!
ただ、輪ゴムを巻いてるので 模様は “丸” を基本にした柄しか出来ないのが難点ですが・・・
だから、丸を基にした図柄を考えてみてネ!       オレはネ・・・

  
 ↑ 6枚セットで “サイコロ”              ↑ “おっ!” “ミッキーさん?” “カエルさん”

こんな感じでやってます。  “絞り” は本業ではないので・・・

  真面目に “絞り染” に携わってる方には怒られそうな
  “手抜き絞り” ですが、一般の方々が “染” に親しむ
  手段としては 簡単に出来る事だと思います。

  “都染め” や “ダイロン” などの手に入れ易い
  染料を使えば、色のバリエーションも多くなるので
  皆さん 是非チャレンジしてみてネ!



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2009年11月11日 Posted by 染師 麗 at 17:17簡単染め