黄八丈 カビ直し

ここのところカラッとした好い日が続くネェ。  地色を染めるには もってこいだ。

福寿の袱紗・第2ラウンド も 昨日から地色の染めに入って、乾くまでの間 時間があるので
自由が丘・扇屋 さんに頼まれた 黄八丈のカビ直しを 朝から袱紗の地染と並行しながら・・・

黄八丈 カビ直し  ← こんな感じに ところどころに
  カビの白斑が出ていて (おそらくカビ)
  これをもう一度 媒染 して元の色に戻してやるんだ。

  コイツラは どうもバクテリアに媒染剤がやられ
  元の染料だけの色になってしまってるようなんだ。


被害の程度が軽ければ、蒸し を一発カマしてやると カナリ良い状態になるんで 先ず蒸しに入れてみる。

・・・蒸し上がってみても、状況はそれほど変わらず。   

黄八丈 カビ直し  ってなわけで次の処置へ
  ← 酢酸アルミの少々濃い目の 媒染液 の中で
  全体的にムラの無いように 20~30分 繰ってやる。

  これがナカナカ地味で大変な作業なんだな・・・   
  着物を一反張れれば、媒染剤を引いてしまえば 
  いいんだけどねぇ・・・   (広い染場が欲しい!)

黄八丈 カビ直し  媒染液の中での作業が終ったら
  一度 水元 をして 乾燥

  ← それでなくても広くは無い 仙人の仕事場は
  生地達に占領され 開店休業状態

  乾燥後 “なかなか良くなってるジャン!”

もう一度 最後の 蒸し をカマしてやって “ハイ いっちょ上がり!”    
・・・と行きたい所なんだけど、状態のひどかった所が まだ少々気になるので “地直し” をやる。

黄八丈 カビ直し  ← 黄八丈の染料は 八丈刈安 というヤツで
  オレの使ってるのは 近江刈安 なんだけど、まぁ大差ネェ
  って事で、刈安染料を薄めて 地直し をやっつける

  ドライヤーであぶりながら、繊維の口を開けてやり
  濃くならないように 気をつけながらの作業
  その為に かなり “薄めの染料” で回数勝負

ほぼ一日掛かってしまったけど、直し物としてはナカナカ上手く行ったと思う。    めでたし・めでたし!

※ 黄八丈は 八丈刈安を 椿や榊の灰汁で媒染してるようです。
  このような明るい発色をする媒染剤は、アルミか錫なので オレはアルミで媒染してやりました。
  細かい事にこだわるより、良い結果が出る方が大切と思うので・・・

直し物なんかもやったりする 器用 貧乏 な仙人であった。      チャンチャン!


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2008年10月23日 Posted by染師 麗 at 01:01 │仕業中

この記事へのコメント
お疲れ様です!

麗さんって生き物を扱っているのね!
大切に扱っているその気持ちが伝わりますわ~

麗さんの作品こそ
皆に知ってもらいたい! です!
Posted by 鳥山鳥子鳥山鳥子 at 2008年10月23日 01:58
うん うん
Bleumamaも鳥子ちゃんと同感o(^▽^)o


love&あはは~♪
Posted by Bleumama at 2008年10月23日 04:12
soul sister 鳥ちゃん
化学染料を使っていても カビは出るんだけど、天然染料だと もっと出易いみたい・・・
染料によっては、退色もあるし・・・    なかなかのイキモノ
でも、化学染料では相当な手間、時間を掛けなければならない “色” を出してくれんだから 文句を言ったらバチが当たる。
ケア・メンテナンスも含めて “創り手” でありたい。     なんちゃって!

bleumama さん
遠くからのお客さんの 接待 おつかでした。
キット皆さん楽しんで帰られた事でしょう。
bleumama の着物も可愛がってあげて下さい。
Posted by 染師 麗 at 2008年10月23日 09:47
鳥子さんに同感です。
ほんとうに生きてるみたいですね。
奥が深いなぁ・・・
Posted by たけたろたけたろ at 2008年10月25日 22:26
たけちゃん
先週は ありがとね。
なんでもそうなんだけど、だんだんとクタビレてくる・・・
でも、そこに “味” が出てくるように頑張りたい。
オレも だいぶクタビレてきたからなぁ・・・     マダマダ精進!
Posted by 染師 麗染師 麗 at 2008年10月26日 16:41
おはようございます♪
お初にコメントさせていただきます♪

伝統工芸品はもしくはそれに近いものの工法は気の遠くなるような根気と技術と作り手の方の想いが入っていますね。
私も元呉服屋(爆)で本場結城紬の機織の友達もいますが・・・。
とても危機感たっぷりで仕事をしています・・・。

工業製品はそれはそれで役目もあるし、普及という面ではいいとは思いますが、伝統工芸や昔ながらの工法が先細りにならないように私たち小売業者(呉服も洋服も祭衣装も・・・)がしっかり消費者にも啓蒙してまいりたいと考えます。

・・・ってえらそうにごめんなさい・・・(笑)

「ドンブチ染め」といって染料はイマメ(姥目樫)の皮と葉を染料にし。地元の鉄分の強い湧き水(井戸水)を使い、鉄楳染させる江戸時代から伝わる染物を復元して町おこしに頑張ってます。
ブルグレー(少し紫も入る場合もあり)の素敵な幻の藍染に染まります・・・。といっても狙った色に染まらないのが事実です(激爆)
色止まりが中々せずに課題満載ですが、楽しく仲間でやっています。
色止まりで良い方法があったら又ご指南ください。
感謝
Posted by のりちゃん at 2008年10月29日 08:05
のりちゃん さん
はじめまして。   じゃネェか・・・
お仕事頑張ってる様子、頼もしい限りです。  これからも頑張り続けて下さい。

工業製品は大量生産が出来、多くの人に廉価で提供できるという とても大きなメリットがあります。
これは とても大事な事だと思います。   それに 手仕事だから良いというのは???で、手仕事であっても いい加減なもの・下手くそなものは多く、それならチャントした工業製品のほうがよっぽど良いとオレは思ってます。
“廉価で質の高い工業製品にも充分対抗できる良い仕事” をしていかねば、手仕事も淘汰されていくのは当然でしょう・・・
オレも最後に残れるようにと頑張っては居りますが・・・   如何なりますでしょう・・・?

さて、ドンブチ染め ですが、オレには良くわからず 的確な答えは難しいですが、染める生地は綿ですか?
媒染という工程で定着させるには、絹とかの動物繊維でないと金属分を吸収する部分を持って居らず、発色のみとなってしまいます。

それ故 綿等を天然染料で染める場合は、染料それ自体が繊維に吸着できる性質を持ったものでないと 染まり付きは弱いようです。
だからオレの場合 綿を染める時はタンニン系の染料を使ってます。
それ故 色味もおのずと限られてしまいます。
ドンブチ染め では、イマメの樹皮・葉という事なので、割と強そうには思えますが・・・

参考になるかわかりませんが、無色のタンニンを下染めしてやると そのタンニンが生地に吸着され、タンニンに媒染剤が定着し・・・といった図式で いくらか堅牢度が上がるかもしれません。
元々の イマメ の堅牢度自体も問題になりますが・・・

いろんな事 試してみて下さい。 失敗は必ず糧になってくれますので・・・
オレも日々失敗の連続・・・   (人生自体が失敗だってか!)

健闘を祈る!         じゃ!
Posted by 染師 麗 at 2008年10月30日 09:35
染師 麗さま
ご丁寧なご回答をありがとうございます。
ドンブチ染めは綿で染めます。
絹でも染めますが復元という意味では綿が主力になりますが・・・。絹でも十分染まります。

イマメに含まれるタンニン酸と井戸水の鉄分の化学反応で発色・定着するのですね。

事前にタンニンで処理を施せば堅牢度があがるのでしょうかね・・・。
何度も染めればいいのかな?
あきらめずにやってみます。
アドバイスありがとうございます。
いつかお会いできてお話が出来るとうれしいです。
又コメントさせていただきます。

感謝
Posted by のりちゃん at 2008年10月30日 14:17

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