三度黒 二度染め失敗

秋の展示会 に向けての制作が一区切り付いて、次に何を創るか考えてる間に以前から気になっていた
着物の地色を染直そうかと・・・


  ← この着物 個人的には 気合の入った好い仕事をしていて
  ケッコー気に入っているんだけど、どうも地色の “黒” が眠ったくて
  “どうだ!” といった感じで威張って人前に出せずに気に掛かっていたんだ。

  で、時間が少々空いたので、地色を化学染料で もっと “スキッ!” と
  させてやろうと 直しに掛かる。

オレは “黒” を染める時は “三度黒” といって ヘマチン×鉄×重クロム酸カリ で染めてるんだけど
(これは黒染屋さんが染める方法) これがなかなか難しいんだ。 (黒染め専門の人が居るくらいだからネ)
この着物も その三度黒で染めたんだけど、発色が悪くて “眠ったい黒” だったんだ。

三度黒で染めた黒の上には 他の染料が定着しないようで 師匠の下に居た時から 黒の上に他の色を重ねて 
“色落ち” する事ばかりだったんだけど、自分使い (展示やモデル試着) として売り物にしなければ
多少の色落ちはOKと 化学染料で染め重ねてみたんだ・・・

仕事としては簡単。   赤部分を マイクロワックスで伏せてやって、化学染料の黒を染めてやるだけ。

  化学染料の黒も 少々濃いめに溶いてやって 引き染をする。
  その後 蝋取り・蒸し が上がって ボチボチ我慢できる 黒 となる。

  が、その後の水元で・・・

“ギョェ~!!!”     色がドンドン落ちて、何回交換しても 水が 真っ黒・・・
あまりの悲惨さに茫然自失・・・    なす術も無く2時間ほど水元を続ける・・・

  あまり水が濁らなくなって (それでも普通の染の時より濁っている)
  張って乾燥させてみると・・・
  ← ムラが沢山出来てる。  (色も情けなくなってる)
  結局 “何もしない方が良かった” のかもしれない・・・
  (ただ、自分には“ナイスファイト!”と激励してやりたい)


ヤッパ 三度黒の上に 染重ねるというのは やらない方が良いようです。 (染仲間の皆さん)

これで この着物も “お釈迦”    世に出ないで終ってしまうと思うと 不憫でならない・・・
さらには 生地代・加工料・ドライ・湯熨斗・仮仕立代・等が全て無駄になってしまった。
全ては、自分の仕事の未熟さゆえの結果。    反省して もっと良い仕事が出来るよう精進!

    しかし、 凹むなぁ~!             チャンチャン!


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2009年09月26日 Posted by 染師 麗 at 10:48仕業中

暖簾 上がり

暖簾の蝋糸目から “泣き出した” 染料ですが・・・   (前回へ

 → 
染重ねていくうちに 泣き出してた染料が散り、さらに そこの部分の色も濃くなったので
ほとんど分からない状態になった。     めでたし・めでたし。

これはですね、ここの彩色した部分(泣き出した赤の染料)に、化学染料を使用していまして
この化学染料の場合 “蒸し” をしないと、生地に定着しないので 染料が動いたわけです。
つまり 染料が生地に定着して無いので、染めて水分のある時に その染料が再度水に溶けて
ほんの少しづつ 周りの部分に散っていってしまったというわけです。
 (前回の写真から順に見ていってもらうと染料が徐々にボケていくのが分かると思います)


  蒸し をして、黒い部分(チャコール)が さらに濃くなって
  まるで分からなくなった。 (黒部分は天然染料 矢車・渋木×鉄)

  一緒に 自分使いに染めた暖簾 と同じ柄のも染上がる。
  ドライの準備をして 今回分は終了。


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2009年09月19日 Posted by 染師 麗 at 22:44仕業中

BERG ~ 旧甲州街道

秋から初冬の展示会のDMも上がり、本日DMを届けるついでに BERG さんへ・・・

ツーリングには絶好の季節ゆえ 相棒(SERROW225)に跨り一路 山梨へ・・・


  
BERGさんで 打ち合わせ?下見?も終わり、お昼時となる・・・    が、しかし・・・
ナイフ&フォークは苦手の仙人様、フランス料理は緊張するのでパスして 同じ敷地内の 
LOWE(ルーヴェ) ドイツ家庭料理の店で ソーセージ・ランチを頂く。 
こちらは、お箸も用意されていて気軽に食事できる。  (BERGも気軽ではあるが・・・)
上写真の ソーセージ をメインに スープ・サラダ・天然酵母パン・コーヒー付で ¥1260也
これなら 貧乏仙人 にも どうにか手が出せる。    (美味でした)


その後、BERGさんに別れを告げて 前回 気になりながら行けなかった 武田神社へ・・・
 (ホントは早く帰って仕事をしようと思ってたけど、計画変更)

  甲府駅から 車なら10分位かな・・・

  なかなか静かなたたずまいで良かった。
  現在 風林火山の幟が展示されてるという事だったので
  ¥300を払い見学。  紺地に金泥で描かれてるという
  説明だが、かなり分かり辛くなっていた。
     神社・仏閣はイイね!


満足して帰路に着く。  どっちみち 帰っても仕事するわけじゃないのだから フラ付くことに決定!

ここのところ 甲府以西 に行く時は 笹子トンネル の御世話になってるが、久し振りに 笹子峠をまわって。

  20・30代の頃は トンネルを避けて 
  たまに峠をまわったりしたけど うん十年振りに・・・

  今日は陽も出ていて暖かったけど
  さすがに峠の上は少々ヒンヤリとしていた。

   (ここが昔の甲州街道ですネ)

“矢立ての杉” を見物しながら 現・甲州街道に戻り、次なる見物場所へ・・・

  東京方面へ向かい 大月を過ぎて 猿橋に着。

  いつも素通りで、今まで観た事の無かった
  日本三奇橋のひとつ “猿橋” を初見物。
  素・晴・し・い! (橋からも木の香りが)

   (仕事放っただけの収穫はあったかナ)


本日の走行距離 寄り道などしたので 約280Km      ジジィ ヘロヘロ・・・
久々に相棒と丸一日・・・       し・れ・う~! だけど ツ~ケが痛ェ~!



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2009年09月18日 Posted by 染師 麗 at 21:12日々平安

暗中模索 始末記

さて、以前に制作していた タペストリー が仕立て上がって来て・・・

  ← こんな感じに上がりやした。

  なんとなく “切り絵” 見たいな雰囲気???

  自分としては、今までの仕事の感じとは
  大分違うと思うんだけど・・・


   例えばネ・・・

  ← 今までは、先に線の部分に 蝋を置いて 線が
  “白抜き” で上がる様な仕事が多かったんだ。
  (仕事の手間として速いし、線が白いというのが
   “絵画” と感じが違う為だったり・・・その他)


まだ、今回みたいな仕事は初めてなので 良くは分からないけど、
線を “白抜き” した方が軽い感じに (軽薄じゃないヨ・・・)、色が入ってる方が重い感じになるのかなぁ・・・


  次に 堰出し してる部分だけど・・・

  ← 今回の仕事は、白蝋を 調子 で蝋置きしながら
  堰出しをしているので、結果としては “白蝋で堰出し”
  という感じなので 蝋の際が “眠ったい” 感じ。
   (線の際が ボヤ~ッ とした感じ)


  いつも 堰出しに使ってる パラフィン なら
  ← こんな感じで カチッ とした感じに上がる。
    (どちらが良いといった事じゃないヨ)

  こんな事も 新しい手の内が増えたという感じで
  試してみて良かったと思う。


ただ、もうひとつの 実験? 最初に描いた線の粗さや、伸びやかさみたいのは あまり出なかったようだ・・・
雛形・本図案と 大雑把に描いては見たんだけど、やはり生地に 下絵写しするまで 3回は描くので
どうしても、カタチが纏まって来てしまうようだ・・・  
(考えを実行するには 直接生地に当たりを付けただけで 蝋置きをしなければダメだろうなぁ・・・)


・・・という事で、今回の “暗中模索” は 自分のメモ といった感じだったので、始末記を含め
“染” をやらない人には不親切でしたね。  この頃チョット小難しい記事が多くなってしまったかな・・・
こちらのブログでは 染をやらない人にも興味を持ってもらえるようにしないと 染の底辺は広がらないネ。



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2009年09月15日 Posted by 染師 麗 at 23:45暗中模索・Ash-ra

彩色 泣き出し

前回 の “蝋糸目” を置いて、縒りが太くて 蝋が裏まで抜けてなかった部分だけど・・・

  “刺し” をしたら、蝋が裏まで抜けていない部分から
  縒りの太い部分を伝わって 染料が泣き出してきた・・・
    ← 生地の裏側
  ゴムのり の場合は生地の裏まで抜けないので、染料に
  泣き止め を入れて刺しをしないと 生地の裏側から
  泣き出してしまうんだけど、蝋の場合でも 生地の裏側まで
  抜けていないと やはり泣き出してしまうんだ・・・

  とりあえず 泣き出して来た部分の際を  で
  ← こんな感じで ボカシといてやる。

  ここの部分は濃い色になるので それ程 問題は無いと
  思うんだけど、泣き出しの部分の際を ボカシとかないと
  濃い色になっても 際の部分が目立つ事があるんだ。


  彩色した部分を 蝋置きして 最初の 地染 をする

  ここの部分は濃い色になる予定だけど
  目立たなくなるか 少々心配になってきた・・・

  さて、如何なりますか・・・        チャンチャン!



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2009年09月14日 Posted by 染師 麗 at 23:45仕業中

蝋糸目?

現在、秋から初冬にかけての 展示会 の為の小品(商品)の制作に大わらわ・・・
その他 DMの発注やら 細々した雑用に 日々追われております・・・


  小品は友禅伸子に張ったまま仕事が出来るので
  ← こんな感じで 幾つもの作品を並行しながら制作できるので
  “仕事に追い捲られている” といった感じで 袋物・袱紗・染額・他を
  ヒーヒー 言いながら染めて 日々を送ってるんだ。
   (完売をお祈りしながら・・・無理だろうなぁ・・・)


さて、袋物など 仕立ててもらうのに 時間が掛かる作品が ボチボチと上がり始めたので、次の 暖簾 やら
タペストリー の制作に掛かる・・・

“暖簾” に使う 綿 の生地は厚みもあり 糸の縒りの太い部分も 着物・帯生地に比べ太いので 
今回は “蝋” で “糸目” を置く事に。


  蝋は 防染力も強く 柔軟性もある “マイクロワックス” 
  を使用して、ゴムのりのように あまり抑揚が無い感じで
  蝋置きをする。     あまり蝋筆に含みがあると
  線が太くなるので、先のチビて来た筆で 線を継ぎながら
  裏まで蝋が抜けるよう 気をつけながら・・・
  こんな仕事の時は “下絵の練習” が、ホント役に立つ!


  ← 生地の裏側
  生地の裏側まで 蝋が抜けるよう 気にしながら
  ジックリ置いたのだけど、糸の縒りの太い部分は
  (写真中央部) 裏まで 蝋が抜けてないでしょ。
  こんな所から 染料が外に泣き出していくんだ・・・

  思いの外 時間が掛かる・・・


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2009年09月11日 Posted by 染師 麗 at 22:44仕業中